名前:桐来 八【ぶらり湯けむり夢気分編】
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:3
剣技:
・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/行間> ・召喚剣<0/4/0/3/高高高/インデント> ・召喚剣<50/0/0/0//物語の端>
設定:
定期的に駅に泊まる特急列車に、新たに乗る者はいなかった。静原は停車する度に何らかの食料を買い込み、行科や八も、息抜きに表へ出たりしていた。
「また大貧民かよー、くそっ」行科はトランプをまとめながらぼやく。かれこれ8ゲームほど、逆転出来ずにビリの座を温め続けていた。一方大富豪は静原。静原と桐来がたまに交換する程度で、実力の差は如実だった。
シャッフルし、手慣れた手つきでトランプを配る。渡される札に一喜一憂する桐来だが、それだけ札の内容がだだ漏れでも負けないのだからしょうもない話である。
「そろそろ違うゲームでもやる? 七並べとか」そう提案するのは静原。行科とトランプのやり取りをし、2の並んだ札を扇のようにして微笑む。じゃがりこ(ジャーマンポテト味)を頬張っていた。
「あと2回で宮が10敗だから、それでキリがいいね」
桐来がそうからかうと、「っておめーもそんなに勝ってないだろ!」と言い返すも、桐来の嘲笑的な視線をイマイチ押し切れない。
三人を載せた特急電車は、トンネルをくぐり、水面をすり抜けて、雪原に降りては街を過ぎる。夕方を裾に引っかけては、夜を引きずって次の日を呼ぶ。
座席を倒し、毛布を被って眠りに就くが、桐来は一人眠らずに二人の邪魔をしたり、行科の携帯ゲーム機で遊んだりしていた。時折カーテンを少しめくり外を見れば、遠くでゆっくりと流れていく明かりを見やったりして、朝が二人を起こすまで暇を潰していた。時間を無為に過ごすことについて右に出る者がいない桐来は、寝たふりで彼らよりも遅くまで目を閉じていることさえやってのけた。
朝ご飯も、停車駅で適当に買って済ます。静原は全ての駅弁をコンプリートする勢いだったが、行科はクリームパンとコーヒー牛乳で済ましていた。
その日の暇つぶしはしりとりに始まり、いくつかのトランプのゲーム、UNOをして、昼飯を食べれば昼寝、携帯ゲームと、飽きれば次の、次のと、お喋りを交えながら、何かを忘れるように、時間を費やしていく。
何かを忘れるようにして、時間を費やしていく。
それでも、傾いた三日月に、何かを思うときはある。この場にいる理由、目的。お互いのこと、自分のこと。
静原は目的のことを思い返していた。それ以外のことも、幹から分かれる枝のように考えていた。行科はこの特急電車について考えていた。それ以外のことは、あまり考えたくなかったから。桐来は自分の過去を振り返っていた。それ以外のことは、考える必要がなかったから。
車輪がレールを打つ脇で、魚が跳ねた。
何を思い、何を思わなくても、特急は進む。
――やがて、目的地についた。
オーナー:clown
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