名前:S
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<10/0/5/1/盾魔/マジックシールド>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/クイックシルバ>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速魔魔魔魔/(木の車輪)>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/0/1/3/速熱熱衝絶>

設定:
6.スーサイド

「キミの盾は守るためのものではなく、より強い攻撃を行うためのものですか」
 盾の剣師は彼に問う。彼は「ああ」と首肯する。自嘲気味に口角を上げる。
「俺の盾は誰も救うことはできない。俺では彼女を守れない」
 彼には既に兵士としてのスタイルが身に染みている。一度堕ちた魂の穢れを消していくのは容易くない。復讐を果たした今となっても、いまだに彼は報われない。戦の場がそこにあるならすぐに渦中に飛び込むだろう。爆弾をもって自他を傷つけるだろう。
 アベンジャーの脅威は魔法などではない。精神の予測不能な振れ幅だ。彼らの起こす行動は災厄を運ぶと言われている。
 彼も知っている。自覚はしている。けれど術がわからない。
「爆道部を設立すれば、俺はもっと強くなれる。盾が効く限界まで、俺が死ぬ寸前まで、攻撃力を最大値に高めることができるはずだ」
「そんな盾の使い方は僕が絶対に許さない!」
 JuNが彼の右腕を掴む。力は意外とあるようで、彼は顔をしかめていく。
「あんたに言われる筋合いはねえ」
 左手に持ったライターで彼は腕に火をつけた。JuNの手を払おうとした。炎が服を走っていく。半身が焼かれていく。
 それでもJuNは離さない。JuNもまた盾使いだ。左手で腕を掴みながら、シールドを張っている。JuNはシールドを前に突き出し、彼の体を貫かせる。すると炎は彼から分離し、シールドの外へと押し出された。彼はJuNの盾の中で静かに睨み据えていた。
「どういうつもりだ」
「キミを守りました」
「ふざけんな。俺にだって盾はある。俺はあんたに当てつけた」
「なぜキミは他人と同時に自分も攻撃していくんだ。僕にはそれが耐えられない。まるでキミは死にたがっているようだ」
 JuNは涙をこぼしていく。盾が使える者同士でどうしてこうも違うのか。JuNと彼は鏡に対面したかのように、姿は似てるが中身はまるで逆なのだ。光と闇、女と男、盾の剣と災厄剣、ソーサラーとアベンジャー。
「なんであんたが泣くんだよ」
 苛立つように、戸惑うように、彼は手を伸ばしていく。JuNの頬を親指で拭う。それが嬉しかったのか、JuNはあどけない頬笑みを見せる。
(なんなんだよ、こいつは……)
 彼は溜息をひとつ吐く。
(そういえばあいつも俺のために泣いてくれたんだっけな)
 彼女はまだここへは帰ってきていない。文芸部の貼り紙を目にするたびに心が痛む。
 JuNはまっすぐに彼を見つめる。
「盾道部に入ってください。盾の使い方だったら僕が教えてあげますから」
 有無を言わさぬ真剣さ。JuNは彼を守るために、彼に正しい盾の指導を行おうというのである。
 この状況で断れるほどの野暮ったさは彼にはない。
「わかった」
 盾道部に晴れて部員が加わった。
 JuNは手を差し出した。
「よろしく。僕が部長のJuNだ。えーと、キミは……」
 名を、尋ねられた。
 何と答えるべきなのか。
 Aか、Bか、それとも……。

「Sだ」

 彼もまた盾を名乗る。JuNと握手を交わしていく。


オーナー:かに

評価数:2
(kusa_hen)(supply)