名前:とある神様の恋愛ゲーム
HP :15
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
・加速剣 ・鑑の剣 ・加熱剣 ・衝撃剣 ・絶対剣
設定:
キスには何が必要なのだろうか。
「tapioka」のファンがごうごうと音を立てている。
美しい噴水はここには無い、ただ煙がファンに流れていくだけだった。
夜の夜景も、高級レストランも必要ないのだ。
ただ愛する人と唇を重ねるだけで、素敵な時間が訪れるのだろう。
私は考える、私の愛する彼の事を。
恋はゲームのように繰り返すことは出来ない。
ワンコインクリア? それとも完全勝利?
恋は対戦ゲームなの?
攻略の手がかりは無いのだろうか。
「デートの帰り、別れ際に手を離さない、そこで彼の目を見て告白しちゃお☆」
携帯の恋愛サイトには、そんな言葉が書かれていたが、デートか……デートに誘えばいいのね。
告白、そしてキスのコンボが完成するはず。
自販機の前でミネラルウォーターを飲みながら彼を探す。
「神さま、何してるの」
後ろから流海の声がした、ターゲットが後ろに居たとは誤算です。
流海は無造作ヘアーなのか寝癖なのか分からない髪形だった、サイドの髪のはね方がとても可愛い気がした。
チェックのシャツも似合っている、顔に似合わず肩幅は大きくて可愛い。
靴の結び方がいつもちょっと下手なのも可愛いと思う。結んであげたい。
私は何を考えているのだろう、何をしないといけなかったのか。
何だったかしら。
……デートだった。
デート? どうすればデートに誘えるの? 言えばいいのかな?
「流海……よかったら週末にデートしてほしい」
考えも纏まらないまま言葉が先に出た。
流海をデートに誘ってしまった。恥ずかしい。
「ええっ!? ……いいけど、急に、どうして?」
どうしてと返された、どうして……って、えっと、キスするから。
キスするだなんて、そんな恥ずかしいこと言えないよ、どうしよう。
私がもじもじと言葉を詰まらせていると、流海は恥ずかしそうに言った。
「えっと……俺のこと、好き、なのかな」
「う……ん、す、好き」
キャー告白してる、どうして今してるの?
どうしよう、この次はキスしちゃうのかな?
コンボが繋がっちゃうよう。練習したことないコンボが実践で繋がっていいの?
恥ずかしくて顔を上げれなくて下を向いていると、流海が耳元で「キスしたい」と囁いてきて、私はますます混乱してしまう。
キスしよう、でもどきどきして首が全然動かないよ。
ラブラブ空間が広がり二人だけの世界でキスをしよう。
手を繋ごう、そうすればきっとキス出来ると思う。
私が手を動かそうとしたその時、流海の手が私の手の甲にそっと乗せられる。
「神さま、キスしてほしいな、俺の事好きなんだよね」
あれ、おかしい、キスしちゃう、あれ……あれ? あれ?
流海の唇が、私の唇に重なったとき、私の心は穴の開いた水風船のように、涙を流してしぼんでしまった気がした。
私は流海の肩をぐっと押し離し、立ち上がる。
そしてそのまま背を向けて「流海の馬鹿」と呟き、走って帰ってしまった。
どきどきして、デートしたくて、告白したくて、キスしたかったのは私だ。
好きなのは、私だけじゃないか。
恥ずかしい、馬鹿……馬鹿みたいだよ。
うー、流海の馬鹿。そんなキスじゃ嫌だよ。
オーナー:hosa
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