名前:非実在戦士まもる
HP :15
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:3
剣技:
・鏡の剣 ・鏡の剣 ・斬撃剣 ・真法剣 ・加熱剣 ・加速剣
設定:
朝起きて歯を磨く。
口に歯ブラシをくわえたままリビングに移動してなんとなくテレビをつける。
『次のニュースです。太平洋沖で発生した赤い海流は広範囲に広がり…』
家族はまだ起きてこない。
昨日は結局、強制的にログアウトさせられた後、二度とあのチャットは見つからなかった。
夢だったのかもしれない。夢じゃなかったとして、何の手掛かりになるだろう。僕はチャットの人にからかわれただけだ。あるいは、アイツにだってからかわれて騙されているだけなのかも。
何が神だ。手品なんかで騙されるか!
RRRRR…
ソファの横の家電が鳴った。
「・・・」
家族はまだ起きてこない。
「はい、田中ですけど」
『………』
無言電話?
『……助けて…』
その消え入りそうな震え声の主がいつも小生意気なアイツだなんて思えなかったが、しかし、間違いなかった。
『まもるくん、たすけてよ…』
「どうしたの?」
震えて小さく冷たさを持った叫び。
『何者かがこの世界に侵入したの。わかるわ、私が作ったのでないものは。破壊してる。毒をまき散らしてる。みんなみんな死んじゃう、死んじゃうわ、私の世界が』
その言葉で、それまで気にもとめていなかったニュースの画面にひきつけられた。
『このように、赤い海流に触れた魚は死滅し、東京湾には大量の魚の死骸が打ち上がっていますが、決してこの魚には触れないよう注意してください。こちらは衛星からの映像です。太平洋の中央で発生した赤い海流は現在ますます範囲を広げ、漁業に国際的な打撃を与える見通しです。』
魚がなんだって?
『痛いの…まもるくん、』
衛星写真がうつす海の様子はまったく見慣れないもので、血のような赤い染みがテレビの画面の中で刻々と広がっている。
『ねえどうして!何にも苦しいことがない幸せな世界のはずだったのに、どうして!?』
僕は頭を整理しながら話しかける。
「よくわからないけど、ニュースでやってる事件は君のいう侵入者のせいなの?」
『たぶん、ううん、間違いなく。お願いよまもるくん』
泣いているせいか、ノイズが多い。
『助けて、あいつをやっつけて』
『赤い海流の原因は国際機関が調査中ですが、海上には数十mにわたって毒霧が発生し近づくことすらままならず…』
『私には無理なの。私は無力なの…』
ノイズではない。少女の声、一言一言が、僕の魂から記憶とも呼ぶべき色鮮やかな感情を呼び起こしているのだ。
「…おかしいな。君って神なんじゃなかったっけ?」
『ごめん・・ごめん』
自分が作った世界が滅びかけているのに何もできず泣いてるしかない情けない神様。
鮮やかな感情はパズルのピースのように結びついて意思となる。
なぁ、子供がイキがって世界なんて作るもんじゃない。
でも、
「どうして僕なんだ?」
『え?』
「どーして僕を選んだの。ただの中学生なのにさ?」
僕の意思。
彼女が作った人形でしかない僕の。
この頼りない神様を守ってあげたい。
そう思った瞬間、手に持っていた子機が変化した。青い光を放ちながらシュウンと長くのびて適度な重さを持った剣となかった。
そしてその時はじめて、彼女が電話を通してでなく僕の体に直接話しかけているのだと気づいた。
『あなたを選んだのは…わかんないけど、なんとなく…懐かしい感じがしたから。』
全ての偶然に感謝しよう。
今度こそ君を守るよ、アマリリス。
オーナー:samantha
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