名前:ヌル肌ロリ子 
HP :10 
攻撃力:6 
防御力:0 
素早さ:4 
剣技: 
 ・高速剣  ・蟲毒剣  ・蟲毒剣  ・鏡の剣  ・斬撃剣  ・斬撃剣  ・斬撃剣  ・斬撃剣
 設定: 
 富豪の家に着いたロリ子は、いつもの広間ではなく違う部屋に通された。 
 そこでロリ子は使用人に囲まれて、服を着せられ、化粧をされ、髪を整えられる。 
「あの、下着を渡しに来ただけなんだけど」 
「今日はお客様がいらっしゃっています。化粧をさせよとのご命令です」 
「……またくだらない事を」 
 
 メイクが済み、広間に通される。 
 いつもは富豪一人だが、今日は4、5人の男達が集まっていた。 
 その中にヒゲ男の姿もあった。 
 
―― 
 
「どうじゃ、喜んで貰えたかね」 
 富豪がロリ子を見下ろし、ニタニタと笑っていた。 
「お前のことは聞かせてもらったよ。王族直属の魔法剣師になりたいだと? 素晴らしい夢じゃないか」 
 わざとらしく大げさな身振りで、周りにアピールする。「ハハハ」と下卑た笑い声が上がる。 
 ロリ子が無表情のままヒゲ男に目を向けると、彼は少しだけ申し訳無さそうに苦笑いを浮かべ、ロリ子から目をそらした。 
「その服をそろえるのは金がかかったんじゃぞ、ちゃんと見てみろ」 
 富豪は使用人に大きな鏡を持ってこさせた。 
 そこには、ロリ子が夢にまで見た、まぶたの裏に焼きつく程に思いを馳せた、憧れの剣師の姿が映っていた。 
 
―― 
 
 あー……だるい…………だるいなぁ…………。 
 あ……ああああ……あーああああああ!! 
 クソが。ブタ野郎が。死ねばいいのに。 
 ……殺してやりたい。 
 ブタも、ここに居る奴らも、この近くに居る奴らも、幸せな奴らも全員死ねばいい。 
 ああいやだ。終わってる。もう全部終わってくれ。 
 ……苦しい。 
 ブタだ、こいつらが勝手にブヒブヒとブタ語を喋っているだけなのに。 
 
「では魔法剣師様の下着を頂戴しても宜しいですかな……」 
 うるさい死ね笑うな、臭い口を開けるな。吐きそうになる。 
「きっと凛々しい下着に違いませんなあーハハハ」 
 だまれ消えろ。 
「早くせんか。護衛に無理矢理脱がさせてもいいんだぞ」 
 くそ……ゴミみたいだ。ゴミみたいな世界だ。 
 服を脱ぎ、下着を脱ぎ、ブタに下着を渡す。 
 クソどもが卑しく笑っている。 
 ふわふわと地面が身体から離れていく気がした。 
 ああそうだ、これが夢なら、そう思うも目の前の鏡がこのくだらない現実を私に教えてくれた。 
 その姿が、何だかおかしくて、馬鹿馬鹿しくて、不意に笑いが込み上げてくる。 
「ヒヒ……ニヒヒ。私のストリップがそんなに楽しいのか……」 
 鏡の中の裸の女は、涙を流し笑っていた。気持ち悪い笑い方だ。 
 世界が濁って見えた。目の前には薄汚れた灰色の世界が広がっていた。 
 全てが鈍色で、価値が無い。 
 そう思えた。 
 
―― 
 
 濁った魔石を通して見る世界はやはり濁っている。 
 この欠けた魔石が今の私を作った。 
 ブタを殺したときに生まれた欠片。 
 
 あの後、ブタは興奮したのか何なのか「チップをやるから」と言い、私を風呂に入れた。 
 私はきっと、どうでもよくなっていたんだと思う。 
 本当にどうでもよかったので、風呂場にあった置物の魔石を何となくブタの頭に叩きつけた。 
 うつ伏せに倒れてうめき声をあげるブタ。 
 その音を聞いて護衛が駆けつけてくる。 
「ああ、ここで死ぬのか。つまらない人生だったな」 
 そんな事を思っていたら、何故か護衛はブタに止めをさして、テキパキと箱に詰めだした。 
「あ、もう帰っていいよ。後は処理しておくから」 
 よく分からなかったが、だけど服を着て逃げた。 
 
―― 
 
 後で知った話だが、ブタには息子が居るらしく、さらにヒゲ男と交友があるそうだ。 
 ヒゲ男が手を回していのだ。 
 ブタが死んで、息子が来たとき使用人達は大喜びだったらしい、簡単に事が運ぶわけだ。 
 結局のところ私は最後までピエロだった。 
 
「……ブタには感謝しないとな、夢を叶えてくれて、そして現実を教えてくれた」 
「ちょっと、姉ちゃん。石なんか見てないでちゃんと宿帳に名前を書いてよ」 
 そう言って宿帳を私の前に持ってきたのは、店番をしていた少年だ。 
「……名前か……名前ねえ」私は少し考えてから、名前を書いた。 
「はい書いたよ、四枚舌ガリ子……ニヒヒー、どう、かっこいいでしょ?」 
「変な名前、全然かっこよくないし」 
「ところでさぁ、聞きたいんだけど、この辺に珍しい剣とか持ってる人って居ない?」 
 
 私が何かを得て満たされているとき 
 誰かが何かを失い嘆いているだろう 
 それが世界の真理だ。  
オーナー:hosa
  
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