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＊タヌキはアルストロメリア千年樹氷の第一回目第４１８期の調査業務主任に選ばれました。

---暗く赤い視界が一転して暖かな光にかわる。何度もみた光景、何度も味わった感覚。
　私はまた死に、またあいつを死なせてしまった。
　アルストロメリア千年樹氷で今起きている事は
　幾つもの複雑な事象が絡み合っていて
　何度繰り返しても問題解決はおろか、何が起きて
　いるのかすらわからなかった。
　様々な生存方法を模索しそのどれもに失敗した。
　私は行き詰っていた。
　そんな私の様子を見て、ホタルがみんなで調査隊を
　抜ける事を提案した。
　面白そうなのだ！　とヒツジが続く。
　調査隊主任のタヌキは難色を示していたが、
　４１７人もの自分の姉達が死亡している事を
　冷静に理解していた。アリクイはのほほんとしていた。
　
　こうして、抜け調査隊となった私達は追手から
　逃げ続け、最終的にたんぽぽの奴隷戦士として
　雇われた。
　たんぽぽの次の目的地はアルストロメリアらしい。
　忌々しい地獄のような場所に戻るのは嫌だったが、
　序列は絶対らしく、私たちに決定権はない。

　小隊のテントから出ると幹部の女が
　『もう何回目かになる』薪割り占いをしていた。
　死なないかも、というポジティブな占いの通り
　殆どの結果で<たんぽぽ>は目的を達成できそうだった。
　序列の低い奴隷戦士の私達を消費する事によって。

　このままではだめだ。またタヌキを死なせてしまう。
　
　私達は、序列を上げなければならない。


（…だめ。今回の おともだちごっこ も失敗だわ。早く次の街に行って新しいおともだちを探さないと）


「…という夢をみたのだ！」


TIPS

金剛丸ヒツジ：
夢を見ている夢を見ている夢…の夢を見ている少女。どこまでが夢でどこまでが現実かわかったものではない。今見ている夢では世界中を放浪する貿易隊商「たんぽぽ」に雇われた奴隷戦士であり、同じく奴隷として雇われたカラス・タヌキ・ホタル・アリクイとともに楽しく旅をしている。奴隷なので弱いし装備もロクなものが与えられないし、序列も低いしすぐ死ぬ。仲良し５人組の中ではカラスちゃんが一番のお気に入り。


水隈カラス：
アルストロメリア千年樹氷を調査中に消息不明になったメンバーの内の１人。ついさっき時間を巻き戻って帰ってきた。今度はタヌキを死なせないようにしたい。


森羅盤タヌキ：
市役所の雇用対策事業である探検隊に参加している機人の少女。探検隊業務は安全・安心がモットーのため、全員生存が達成できるまではクローンを用いて何度でも周回が行われる。自分と同じような境遇のホタルが気になっている。


石火矢ホタル：
何世代にも渡って恋人を探している完璧主義のヤンデレ一族の娘。自分と他人に理想の人間像を押し付けて、かつての一族が過ごした青春を完全再現する おともだちごっこ というやべえ遊びを考案しメンバーに強要しようとしている。今代の当主はアリクイこそが魂の伴侶だと信じて疑わない。


土橋アリクイ：
並行世界の存在を証明した物理学者。上位世界から下位世界にログインし自分の人生を幾通りもシミュレートしている。命の恩人であるヒツジとどこかの下位世界で友達になりたいと思っている。

オーナー：utsm3

(出典：m24e ＜白夜朗々＞)

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