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ああ、本当に私はクローンなんだな。
薄暗い部屋に大量に並んだカプセルを見て私は自嘲する。
私が目覚めたカプセルからは白い煙がもくもくとしている。
既に空いているカプセルが沢山。
まだ空いていないカプセルも沢山。
空いていないカプセルには沢山の私がいた。

部屋の出口を進むとそこには脚本が置いてあった。
内容を確認する。
目覚める前に培養液の中で教えられた記憶と一致する。
私の姉達が生きた証、或いは私の姉達がどうやって死んだのかの記録。
その全てを外に持ち出す事はできないという。

公的な記録では私に姉は存在しない。
国家洞窟探検隊は雇用対策に打ち出された政策で任務は安心・安全。
誰でもできるのがモットーなのだから、死人なんて出るはずがない。
仮に何かが起こったとしても、次の妹が新しい姉になるだけだ。

ダンジョンを無事に踏破できたら、楽しい生活が待っているからね。
そんなわけがない。
脚本なんてクソ喰らえだ。
ダンジョン踏破なんて、できるわけがない。
私達はすべてを理解している。
けれども私は頭の先から尻尾まで完全に公務員で、みんなの役に立つ事が喜びだから。
出来ない事もやるし、一歩でも先に進めるように効率化もはかるんだ。

でもね、ホタル。
私達と違う境遇でここにやってきた貴女は、こんなところにいつまでもいて欲しくない。
貴女は過去のしがらみにとらわれずに生きる道だってあると思うんだ。

オーナー：utsm3

評価数：7
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