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目の前に壁が有れば、斬り伏せるのみ。
などというのは冗談だ。彼奴は味方なのだろう。
剣士たる者、如何なる状況でも魅せ方にこだわるのだ。
笠で前が見えなくとも、藁沓で上手く歩めなくとも。
装備品に剣が存在しなくとも…

少年よ、かつて私も夢を見ていたのだ。
今だってそうだ。叶わぬ夢を。
フッ…仲間と共に技を磨き合った日々が懐かしい。
あの頃は黄金の鎧を纏ったギルド長と同じように、
前線に出て味方を守ったものだ。
今ではこうして隊列の都合で守られる側に。
というわけで、宜しく。隊列だからしょうがない。

…と話せば良いのだろうが、恥ずかしくて態度で示すしかないのだ。
もっと技術があれば面頬の下にボイスチェンジャーを仕込んですっごく威厳のある声で話してみたいな。ギルド長みたいに。録音した自分の声って聞いたことある？もう喋りたくない…

オーナー：kusa_hen

評価数：6
(c)(EscaeP)(ishi)(84n)(theta)(taka0427)