名前:ブーゲンビリア
HP :30
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:3
剣技:
・克己2 ・魂魄 ・俊足 ・俊足 ・再起 ・羅刹砲 ・霊化2 ・焼鏝 ・断絶拳 ・呪怨札 ・再起
設定:
声がした。
どこからともなく、”こんな状況”だというのに幻聴が聞こえたのだ。
”本当に勝ちたいなら”
”本当に勝ちたいのなら、全てを捨てるべきだ”
「もういい!私を置いて逃げろ!ブーゲン!」
私のすぐ背後には、友がいた。名をユグドラシルという。
背が高く、美しい女だった。十年来の友人で、ことあるごとに衝突し、ことあるごとに和解した。
彼女の自慢の長い銀髪が、今は、血と土ぼこりにまみれている。
敵にやられたのだ。油断していたのだろう。霞の三剣師なんていう大層な渾名を貰っておいて、このザマ。
相変わらず、のろまで馬鹿な奴だ。
”じゃぁ、なんでアタシはそんな馬鹿を、今も必死に守ろうとしてるんだ―――?”
怪我したコイツをどうしてかばう必要があるんだ?関係ない、そもそもコイツのことなんて厄介だと思うことのほうが多かったじゃないか。
コイツがいなければ世界の頂点だって、私のもの―――
”本当に勝ちたいのなら、全てを捨てるべきだ”
そう考えている所で、目の前には敵の剣先が。
すかさず弾く、だが、対応が一手遅れ、肩が少し、裂ける。
「ぐッ」
捨てる?そう、後ろにいるコイツを捨てる。
そうすれば、間違いなく私は生き延びられる。ユグドラシルは、死ぬ。ここで終わり。
それで、それでいいじゃないか。
「なにをしてる!もういいんだ!逃げろブーゲン!お前まで・・・お前まで死なせるわけには・・・!」
得体の知れない声はなおも響く。
”本当に勝ちたいのなら――
「うるさい黙れッ!」
怒号が戦場を包む。その怒りの相手は、後ろの彼女であり、見えない声の主でもあった。
「これはアタシがやっていることだ!アタシの問題だ!誰にも何も言わせない!クソッ!」
ギリリ、と奥歯が鳴った。私は生きたいと思っているのだった。
だが、何かを捨てて、いや、何もかもを捨てて、自分のあり方まで忘れて生きることなど、何の、何の意味もない。
後ろにいるこいつと一緒に、生きたいと私は確かに思っていたのだ。
「さぁさぁさぁァッ!かかってこいよッ!!一人残らず駆逐してやるッ!」
迫り来る刃に向けて、そして、振り向き、心配そうな顔をする友に向けて、私は不敵な笑みをこぼしてやった。
オーナー:nitoro
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