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メタル博士の産みだしたチルチルは、あまりに凶暴すぎました。
死者どころか生き物の魂まで分解してしまうのです。
五月の兄貴風に吹かれたメタルチルチルの一団は、
あらゆる動植物をひとしなみに呑み込み、大陸南部をすっかり荒廃させてしまいました。
一月もすれば、北部も同じ運命をたどることでしょう。

こんな非常時に、土人たちは祈祷を奉げてばかりで、てんで役に立ちません。
それに比べて、我らが大王様はやはり偉大です。
『逃げる』という卑近な手段で、国民に手本を示されたのです。
こうして国家は解散し、都民は方々へ退散、そして私は逃げ遅れて途方に暮れていました。
すると、
なんたる僥倖か、我が足元にワープゾーンが開いているではありませんか。
そんなわけで私は旅立ちます。逃げた先に楽園があると信じて

オーナー：heterodyne