名前:盆ダンスサークル啓一
HP :10
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:3
剣技:
・王国認定ギルド証 ・追野二雪 ・水剤3 ・Boost ・Assault ・Assault ・Assault ・鋼糸 ・鋼糸 ・弓箭 ・弓箭 ・匕首 ・匕首
設定:
彼は踊った。我を忘れて踊った。
いや、もはや踊ることが彼の本質だったので、我を貫き通し踊っていたと言った方が正しいだろうか。
踊っている途中で5000兆年経過したり、際どいバニー服を着た謎のポールダンサーと遭遇したり、銃を持った男たちに囲まれ爆発物を浴びせられたり、地球に隕石が落下し人類が滅亡した気がするが、そんなことは夢中で踊っていた彼にとっては些細なことだった。
しなやかに弧を描き、またある時は波を描いて舞う腕は、指先まで優雅で美しく、
決して激しくは無いが、複雑なステップを前後左右に踏むたびに、カランコロンと軽快な下駄の音が鳴る。
顔の前で手を叩けば、大輪の花火が咲くような華やかさが辺りに広がった。
気がつけば彼は、マーガレット王国の剣舞会の真ん中で、誰よりも輝いていた。
このダンスホールは自分のものだと言わんばかりに、全ての人を魅了していた。
だが、そんな空間を切り裂く一人の存在が現れた。
――マーガレット王国、女王スカーレット。
彼女の登場により、会場の雰囲気が一気に張り詰める。客人は皆、彼女の方を振り向いた。
ピリリとした空気は夢中で踊っていた彼をも包み込む。
彼は踊りの足を止め手を下ろして、背後にいる彼女を振り返った。
「これは、マーガレット国王様。お目にかかれて光栄でございます」
彼は、はだけた浴衣の割に礼儀正しく、深々と頭を下げて女王に敬意を示した。
そして顔を上げて彼女の顔を見つめると同時に、全身の毛が逆立つ感覚を覚えるほどの物凄い気迫を感じる。
これがマーガレット王国の"剣の女王"か。只者では無いな。
彼女は、どのように踊るだろう。
きっと自分には真似できないような、壮烈で甘美な踊りを踊るに違いない。
彼女と踊りたい、彼女と踊れる……たったそれだけの興奮で、彼の血肉は疼き心臓は高鳴った。
……いけない、我を忘れてはいけない。彼は冷静であろうと努める。
少し落ち着きを取り戻したところで、彼は自分の髪が、浴衣が乱れていることに気付く。
「おや、このような身なりで失礼いたしました」
彼は丁寧に髪を整え、浴衣を整える。これで少しは、まともになっただろうか。
そう思うと同時に、先ほどまで一緒に踊っていた啓一たちのことが頭をよぎる。
……え、まさか。女王の前に、あんなふざけた半裸集団の誰かを連れて来るしかないの?
まずい、それは非常にまずい。自分があんな奴らと同類だと思われたくない。
啓一たちの方を見やる。啓一たちは一緒に踊りたそうに、こちらを見ている。
彼はそっと、啓一たちから目を逸らした。
彼がオーディエンスを見渡すと、ふと見覚えのある衣装の者が見えた。
これは間違いなく東洋の、故郷の国の祭りの衣装だ。
正確に言うと、彼の出身地からは少し離れた地方の衣装だが……まさか、こんな場所で見かけることになるとは。
「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々……ってか」
彼はその者をじっと見つめ、ニヤリと笑った。
「君も踊りたいかい」
(これは「マーガレット英雄譚ブレイドバラード-encore-」が開催されるよりも前に書いた設定です)
オーナー:osakana
評価数:3 (theta)(84n)(kusa_hen) 毒壺爆弾を連れて謁見とは…! (kusa_hen)(08/07 21時00分14秒) |