名前:行科 宮 【現実より】
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:1
剣技:
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱熱衝絶/ミックスピザ>
 ・召喚剣<25/0/0/2/斬護護/マトリョ模様のヘルメット>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/サイドミラー>

設定:
───行科宮は気づく。

自分が今ピザをいつも通りのルートで宅配している筈だった事と、
自分がまったく見知らぬ土地を走行している相反する二つの事に。

殆ど無意識に走行する事はあっても、道に迷う事は無かった。
そもそもこの界隈で通ってない、全く見知らぬ道なんてあるはずもなかった。

バイクを止め、辺りを見回す。知らない道。家。空気。
曖昧な思考を振り切るように思わず頭を振った。
闇夜に吐かれる行科の吐息だけは白く、確かだった。
「ああ、クソ」
そう呟いても事務的とも無表情とも言えるツラを変えず、携帯を取り出し開く。
自己の認識と携帯のディスプレイに映る日付に深刻な差異を認め、そこでようやく行科は眉を顰めた。
何かが起きた。失職する恐れがある何かが自分に起きた。

宅配用バイク後部のハッチを開ける。
ピザがある。まだ暖かい。せめてピザの実在を、自分の正気を確かめたかった。
時間の事は判らないが、とりあえず来た道を戻ろう。

走り出してすぐの交差点、左手に人が歩いているのが見えた。
人、人だ。久しぶりにまともに他人を認識した行科の脳が判断力を低下させる。

視線を通常より長くそちらに向けてしまった。



衝撃。
視線の先、左前方。女性、いや、女の子が歩いている。
悲鳴。
びっくりされている。誰に?多分俺かなぁ。
前を向く。

「あっ」
正面にもう一人女性が居た。転がっていた。
「やった」
思わず呟く。歓喜の意味ではなく、自分が起こした事を自分の脳に落とし込むために。
行科の脳はそれほどまでに他人に対して鈍化していた。
左手に居た子は、まあ予想通りのビックリしてます!としか言いようの無い顔をしていた。


「はは、どーも」
バイクから降りて、左側の女の子に調子良く、この場には至極不適切な明るい笑顔を見せる。
行科の左手には綿飴のような光がくっついた棒が、右手には黄金十字の剣がいつの間にか握られていた。

行科は倒れ臥す女性に近寄り、ためらわず黄金十字の剣を突き立てた。また女の子から小さな悲鳴が聞こえる。まあ、ぱっと見追い討ちだ。
「すいませーん大丈夫ですかー、だいじょーぶっすよねー」
十字剣の刺さった女性を無理やり仰向けにして、光る綿飴を無理やり口に突っ込む。
へたり込む女の子に向かって(腕にぐったりとした人間を抱えていなければ)爽やかな、社交的な笑顔を作って
「あと、どっちでもいいんでこの辺の地図教えて欲しいんですけど……」
笑顔とは対照的なひどく事務的すぎる蘇生処理を行いながら、行科は現在地とピザの事だけを考えていた。


オーナー:elec.

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(kusa_hen)