名前:Dead_or_Undead
HP :0
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:3
剣技:
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/行間>
 ・召喚剣<50/0/0/0//物語の端>

設定:
 私が宮と出会ったのは、公園で猫らと臨時国会を開いているときだった……のかな?
 その公園は住宅地の隅っこにある小さな公園で、『ボール遊びをしてはいけません』とかいう割とよく分からない看板が立っている、基本的に子供も遊びやしない、まるでこの土地の値段が高いとされる日本の中で、存在意義を大いにロストしているエアポケット的空間だったのだけれど、まあ当然その公園の存在意義のなさは周囲の有閑マダムたちもご存じで、最近ではよく不審者も現れるともっぱらの噂が立ちこめ始めたりすることから(一日中この公園にいるときもあるけれど見たことないなあ)、どうやら来月に取り壊されることが決まったらしく、在住している私と猫の間ではその話題で持ちきりだった。実際の所はベンチでひなたぼっこしているだけなのだけれど。
 その日も私はベンチで横たわっていて、寝そべった身体に7匹の猫を乗せてボーっとしていたら、突然、衝撃音がカンセーな住宅街に轟く。
 驚いて飛び上がると(7匹の猫はとっくに逃げ出していた。二匹くらいに顔を踏まれた。淡白な奴らである)、少し離れたところにある滑り台が、大いにひしゃげていた。確かに取り壊される予定の全然使われていない滑り台で、利用者といえば時々暇をこじらせて気まぐれに滑ってみる私くらいだとしても、何もそんな風に破壊しなくても。存在意義のなさで言えば、私とどっこいどっこい程度だし、見た目通り実直で素直な滑り台だったのに。(後日、危険なので使用しないように、という張り紙がされるだけで、もちろん修理されることはなかった)
 ちょうど滑るところが酷く折れ曲がった滑り台にめり込んでいるのは、宅配ピザのバイクだった。煙を上げてひっくり返っている。車体後部のボックスからピザの入った紙の箱が飛び出ており、いくつかはサイドメニューか何かのチキンやポテト、コーラのペットボトルと共にそこらへんに散らばっていた。それを点々と目で辿ると、どうやらそのバイクの運転手らしき人が、地面に突っ伏している。
 あっちゃー、と思った。これじゃまるで私が殺したみたいじゃないか。なんて冗談だけれど、そのまま眺めているわけでもないので、近寄って声を掛けてみる。
「もしもーし。おにいさーん、事故りましたよー」返事はない。
 しばらく対応に取りかねていると、近所の有閑マダムたちがそこかしこから湧いて出てきた。私はケータイとか持ってないので救急車やら警察やらは彼女らに任せて、さて私はおいとましますかねー、とその場を立ち去ろうとしたとき。
「……ん」事故った男が意識を取り戻したのか、小さくうめき声を上げる。男は緩慢な動作で両手を地面につき、上体を持ち上げた。
 その様子を見て、思わず変な声が上がる。
 顔面が流血で真っ赤だった。
 なんだこれ大丈夫なのこれやばいんじゃないの。もしかしたらあんまり動いちゃいけないんじゃないの死ぬんじゃないの。というかグロい。なんというアンデッド。うん、まあ、私が言えたアレじゃないんだけれど。
 とか何とか思いながら赤いお兄さんを見ていたら、そいつは「あ、どうも……」とか言って片手をあげる。私含めて周囲を取り囲む有閑マダムらは明らかにリアクションに困っていた。何事もなかったかのように配達を始めそうな勢いだけれど、赤いお兄さんは顔面が真っ赤なことに、というか顔面もそうだし血が垂れて首回りから肩にかけても真っ赤に染まりつつある。こんな人がピザ持ってきたら怖いな。というかピザもエラいことになってるけど……。
 実際の所全く大丈夫そうに見えないので、有閑マダムズの中で、しまったことに赤いお兄さんと一番物理的距離が近い私は妙な責任感を覚えて、とりあえず話しかけてみる。長いものには巻かれるタイプの私である。「ちょっとお兄さん大丈夫?」
「あ、はい、まあ……」お兄さんは何というか、大変素晴らしい目で私を見る。思わず背けたくなるような――と、そこで赤いのの言葉は途切れて、ふら、っと身体を仰け反らせる。やっぱり近くにいた私は妙な正義感に駆られて、ああもう一張羅なのに、お兄さんの身体を受け止めていた。気絶している。そりゃあまあ、あんな混濁した目じゃね……。
 そんなこんなで私は彼の身体を受け止めたまま(というか有閑マダムらがあんまり動かすとよくないだのなんだの言うから身動き取れなかった)救急車やらが到着し、何故か私はそれに同乗して病院まで付き添うことになっていた。多分救急車に乗るのは初めて……かな。
 どことなく、厄介なことにならないといいなー、と思いながら、私はただただボーっとしていた。
「あ、お姉さん、お名前は?」と救急隊員が私に尋ねる。全く身構えてなくて「えっあっ」とか変な声を出しながら、私は、「桐来八(きりきはち)です」と答えた。


オーナー:clown

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