名前:桐来 八【現実より】
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:3
剣技:
 ・召喚剣<0/4/0/3/高高高/インデント>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/行間>
 ・召喚剣<30/0/0/2/盾盾/栞>
 ・召喚剣<5/0/0/3/速護熱衝絶絶/地の文>
 ・召喚剣<50/0/0/0//物語の端>

設定:
強い衝撃を受けて、自分が転倒したのだと気づく。
痛い。
ふらつく頭、軋む身体をどうにか動かして、立ち上がろうと――
立ち上がろうとしたけれど、邪魔された。
再度激しく転倒し、迸る痛覚に現実が遠のいた。どこが痛むかを把握出来ないほどに全ての感覚はない交ぜで、昏倒してしまいそうだった。
転倒したのは、誰かに強く打ち据えられたからだった。咄嗟に、自分の防衛本能が顔面を覆い、腹部を足で守った。幸い、ヘルメットをしているから頭を狙われない。
再度振りかざされる暴力は、ガードしている両腕を砕く。食いしばっていても、鋭い痛みが声帯を通り抜けた。
――くそっ、なんだよわけわかんねえ、ざけんな……!
不意の攻撃に当然怒りがこみ上げてきて、しかし、繰り返される攻撃に太刀打ちは出来ない。更に殴打を浴び、そのままボコボコに殴り殺されるビジョンが頭に過ぎる。嫌だ、痛い、死にたくない。
蹴り倒されて、脇腹を強打される。息の根は止まらなくても息は止まる。身をねじり上げる痛みは、その上に浴びせられる更なる痛みにシェイクされて初めて忘れられた。
――し、死ぬ……!
頭蓋の中は霞んで、口の中は血で淀み。
網膜には、瞼の裏の絶望だけが刻まれていた。
にわか雨のように唐突な暴力に、飲み込まれていく。飲み込まれていく。
沼からは自分の手だけが伸びていて、助けを求めるしか出来ない藁をもの指先――
そして振り下ろされる木刀を、俺は受け止めた。
手に握りしめたマチェットの刃に、木刀は深く食い込んだ。相手が抜くのに手間取っている間に、俺は立ち上がり押しのけた。無理に動かした身体がえげつないほどの悲鳴をあげるけれど、途端に醒めた頭脳がそれを組み伏せる。
相手は、(多分)高校生だった。比較的小柄。血で酷く汚れた学ランを着ていて、木刀を正中線上に重ねていた。肩で息をしており、そして彼の目は、抉るように俺をにらみ付けていた。にらみ返す。傾けられた殺意に、抗わない理由などない。
「ぁぁあああッ!」少年は叫び声を上げて、木刀を振り回す。斬るか斬られるかの曖昧な間合いを、わずかな空隙を踏み倒すように踏み込んで、木刀を振り回す。そのスピードに、正直のところ追従など出来ていなかった。
だが、ダメージは通らない。無意識が、マチェットの面でそれを受け止めていた。かすかな手の痺れも気にならずに、翻すように繰り出してきた連撃も、自分では信じられないほど鮮やかに捌く。
もはや、彼は俺にダメージを与えることなど出来なかった。
連続攻撃を凌ぎ、俺は躊躇いもせずに刃を振るう。自分では、追い切れるなんて思っていなかった、まるで達人のような動きに対し、俺の身体は、マチェットは、容易に対応していた。容易に、何の抵抗もなく、彼の肩口から胸部までを、深々と切り込んでいた。マチェットの鈍い刃は、更に強引に彼の身体をひしぎ、断ち切ろうとしていた。
一度引き抜いて、もう一撃。
刃伝いに生々しい感触を残して、彼は死んだ。
自分の酷く痛んだ身体を労りながら、倒れたバイクまで歩いて、それを背もたれに少し休む。血で赤黒く濡れたマチェットが、いつの間にか手に握られていたマチェットが、どうしようもなく、この世界のリアルだと、気づいた。


オーナー:clown

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