名前:行科 宮 【現実より】
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・召喚剣<0/5/0/3/高高/秒速>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶/X軸>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱熱衝絶/Y軸>
 ・召喚剣<25/0/0/2/斬護護/Z軸>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/パラレル・ダイナミック>
 ・召喚剣<40/0/0/1/死/現実とは>

設定:
(ああ、バイク弁償させられるんかなぁ、困った。)
耳は足音を察知すべく研ぎ澄まされていたが、相変わらず心は別のところにあった。
この街は家には誰もいない。どこの家にも誰も居ない。
俺がピザを届ける先じゃなくてよかった、不在は面倒だから、と行科はひとりごちる。


足音が近づく。
出来得る限り音を殺して深呼吸。


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「え……」八は思わず目を疑う。
「……?」
八の手が背中から離れるのを感じ、てまりも漸く顔を上げて、小さく叫び声を上げてまた顔を伏せた。
眩しい!?闇に慣れきったてまりの視神経が悲鳴を上げた。
「え、昼?朝?なにこれ、目がー目が〜……」
両手で顔を覆いうろうろする八を放っておいてゆっくりと目を慣らし、顔と瞼を上げるてまり。
朝だ……一瞬で、世界が朝になってしまった。


朝になったからってなんだというのだ。てまりは動く気になれなかった。
疲れた、ほんとうに……

「ねぇ、あなたたち。」背後から、声が。
てまりが体を大きく震わせて慄き、八が声の方に超スピードで振り向く。
その勢いにややたじろぎつつも、確かにこっちに手を振る姿があった。
ああ、声が!!人が、やっと生きてる人に出会えた!!行き詰まったてまりの心にも光が射す。

栗毛のセミロングヘアーにミニスカートにマフラー、黒タイツ、ローファー……女子高生である。
あついあついと呻きつつマフラーを外しながら、陽光を背に此方に歩いてくる。
右手にはびしょぬれの傘があった。

「うげっ、死体だ。うわー、この辺にも出たのか……危なかった。」少女は足元の塊に驚き飛び退く。
「うわぁーーーん!!」「うわ、ちょっと!」
飛び退いたところにジャストタイミングで涙目のてまりが速度と質量を伴って突進する!
「げぶっ」バランスを崩した少女はてまりを支えるように尻餅をついた。



泣きながらしがみつくてまりを何とか制し、お互いは軽い自己紹介を終える。
と言っても少女は名前以外の一切を明かさなかった。
自分を「ボーティーズ」と呼んで欲しいと言う事以外は全てひ・み・つとはぐらかすのだ。
二人はまず現在地について激しく質問をぶつけた。
ここは何処なのか、何処に行けば何処に着くのか。


「ん?ここは何処にでも行けるんだけど。」
「だから、そうじゃなくってぇ!!」
てまりの感情がオーバーフローしている。八は後ろからぎゅっと抱きしめててまりを静止させ、話の続きを促した。
「どこへでも行けるのよ、本当に。あなた達そのためにここに居るんじゃないの?……ああ、そうか、君達は巻き込まれ型なのか……。」
ふんふんと一人頷くボーティーズ。八はなんとなく何かを考えているようで、てまりの方は全身から?マークを溢れさせんばかりの困惑っぷりだ。その二人を意に介さずボーティーズは語り出す。
「……まぁ、とにかく、ここは何処へでも行く事ができる。全ての可能性へ辿り着ける。」
ここは第なんとか階層全てと繋がる空間で、云わば自分はその空間を自由に行き来できるうんたらかんたらで、望むところ全てへうんたらかんたら、君達は多分誰かの転移に巻き込まれたんだろうとか、つまり君達も何処へでも行けるとかなんとか。てまり達には理解し難い説明を等々と続け、もちろん自分の肉体は変わらないから、あんまり無茶なとこ行っても死ぬだけだけどね、と最後に付け加えた。
てまりと八は気が抜けたようにぽかんと口を開けて聞いている。サイコかこの子は。

二人の視線をあえて見なかったことにしてボーティーズは続けた。
「戻れないって……本当に、君達はそこへ、帰りたいのかい?」ひひ、と白い歯を見せて笑う少女。
「そうです!!だから、ずっと歩いてたのに!!」
てまりが激昂するのを横目に、八だけはなぜか得心が行ったように手を打った。
訝しげに八を見遣ったてまりを尻目に、ボーティーズが立ち上がってスカートの埃を払う。


「じゃ、私はもう行くけど最後に一つ注意しておくよ。」

「時々、私のような人間を殺しに来る奴がいるんだ。」
ちらりと隅っこの死体を見遣る。「馬鹿みたい、お前らをどうこうしようってワケじゃないのに……。」
ボーティーズの表情は、怒りや哀れみというより、道路に落ちてる軍手を見ているといった感じだった。
わけがわからないし興味もないといった面持ちである。
「君達も気をつけるといい。凄い勢いで向かってくる奴が居たらそりゃ敵だ。中には人を殺したいが為に留まってる奴もいるしね。」
その言葉に不安げに怯えるてまりの頭をボーティーズがぽんぽんと撫でて微笑む。
「ま、君達なら大丈夫。」
わしゃわしゃとてまりの髪をくしゃくしゃにして、てまり達に背を向けて歩き出す。


「また会えたらいいね。」
一度此方を振り返ってふふ、と微笑む。
八だけが能天気にボーティーズに向かって手を振っていた。


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登場人物:ボーティーズ
世界の階層を渡り歩くことのできる少女。名前は偽名という事以外は一般的な女子高生。
今まで居た階層に飽きたので別の階層へ行く途中にてまりたちと出会う。


オーナー:elec.

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(utsm4)