名前:漆口ふたえの個人的な体験
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:3
剣技:
 ・召喚剣<10/0/0/4/熱熱絶絶/トウソウガンボウ>
 ・召喚剣<0/6/0/2/高高/ハンドウケイセイ>
 ・召喚剣<20/0/1/2/死盾護/タイコウ>
 ・召喚剣<5/0/0/4/熱絶衝衝熱/ドウイツシ>
 ・召喚剣<5/0/0/2/魔魔魔魔魔魔魔/オキカエ>
 ・召喚剣<25/0/0/2/死回4斬/トウカイ>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/ジコトウエイ>

設定:
7.
「お母さん、おかわりもらうよ」
「どうぞ」
 テストがあった日の夜。私は自分の家の居間で、両親と一緒に夕食を食べていた。
 厄介なタスクを片付けた後はご飯も美味しい。九島さんの前であんな風に泣いたのが本当に私だったのか、と思える。
「お、ふたえ、今日はよく食べるな」
 父が声をかけてきた。
「テストを終わらせてきたから。明日から土日で休みだし」
「そうかそうか、それはお疲れ様だな。父さんは明日も仕事だよ」
「……そう。大変だね」
「いやいや、母さんとふたえの為だから平気だぞ」
 父親の言葉を、部活を辞め、勉強もろくにしていない私への当てつけなのか、と反射的に思ってしまう。もちろん、実際にはそんな意図はないだろう。しかし私は、どうも両親の言葉に反感を持ってしまうことが多い。私は反抗期、というやつなのだろうか。しかし小学校高学年の頃からこうなのだ、反抗期にしては長すぎる気がする。
 両親は尊敬に値する、と思っている。人間なのだから欠点はある。しかしそれ以上にいい所を私は知っている。その筆頭が、私みたいなろくでもない娘を育ててきたことだ。それには感謝しないといけない。それは分かっている。分かっているのだが。
「まったくよく食うな。ほらまた食うぞどんどん食うぞ」
(フコーうるさい)
 両親と、と言ったが、正確にはフコーもいる。食べ物を手に取れないフコーは、暇そうにその辺りを飛び回っては私に対して話しかけていた。食卓の上を歩かれたりすると、私以外の物には触れないと分かっていても、ハラハラさせられる。
 テストに関しては、あの後もフコーが活躍してくれた。私が思い出せない知識や解法を次々にアドバイズしてくれる。フコーは思考よりは暗記系が得意らしい。実力テストは、昨年度までに習ったことの復習的な問題が多いので、フコーの力が存分に発揮された。
(土日は何をしようかなあ。フコーは何がいい?)
「何で俺に聞く。大切な友達の九島とでも遊べよ」
(だって今日はフコーにお世話になったから。九島さんは……うーん……)
 今日の昼休み、いつものように九島さんが来ないので、九島さんのクラスをのぞきにいってみた。しかし九島さんはいなかった。あの九島さんがテストの日に体調を崩すような自己管理の失敗はしないだろうから、何か用事があったのだろう。だから今日は、九島さんと会っていない。
(……なんか、あの醜態を見せた後に、学校で会うワンクッションも置かずに一日遊ぶのって、ちょっと恥かしくてさあ)
「せっかく俺の助けで仲を戻せたのに、何で距離を置こうとするんだよ。馬鹿かお前」
(フコーって口悪いよねぇ。いいの、これは仲が悪くなったせいで距離を置くんじゃなくて、急に仲がよくなったための冷却期間なんだから)
「そうかいそうかい。後悔するなよ」
(するもんか)
 ふん、と鼻を鳴らしてフコーを笑ってやる。
(そうだ、明日はカラオケに行こう)
「カラオケ? 一人でか? うっげぇ、寂しい」
(フコーもいるじゃない)
「何でこういう時だけ頭数に入れるんだ」
(久しぶりだなあ、カラオケ)
「聞けよ」
 ふと気付くと、母からの視線が向けられていた。
「ん? 何?」
「いえ、何でもないんだけど。最近元気なかったみたいだから、食欲が戻ってよかったなって思って」
「…………」
 これが親というものだろうか。姫宮たちに嫌がらせを受けていることは一切言ったことがない。こんなくだらないことで心配をかけたくなかったし、両親は私を愛するがゆえに大きく騒ぎたてそうで、それが恥ずかしかったからだ。塞いだ様子も見せなかったつもりだ。だがそれでも、何かあったと勘付かれていたらしい。気にかけてもらえてるということなのだから、嬉しく思うべきなはずだ。でもしかし何だか照れ臭いような、息苦しいような気がして、
「……それは、どうも」
 そんな、およそ親子らしくない、曖昧な言葉を返すばかりだった。
「お、お前の娘、今照れたぞ」
 フコーが母に向かって話しかけた。
(やめてよフコー)
 フコーの言葉は母には聞こえないと分かっているが、何かの拍子に伝わってしまうのではないかという気がして落ちつかない。
 心配されても感謝の言葉すら言えない娘ですまない、と思いながら、私はもう一口ご飯を口に運んだ。


オーナー:takatei

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(suika)