名前:桐来 八【現実より】
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:5
剣技:
 ・召喚剣<0/3/0/4/高高高/三点リーダ>
 ・召喚剣<5/0/0/3/速護熱衝絶絶/地の文>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/行間>
 ・召喚剣<30/0/0/2/盾盾/栞>
 ・召喚剣<0/4/0/3/高高高/インデント>
 ・召喚剣<50/0/0/0//物語の端>

設定:
「殺しに……って」てまりはボーティーズの去った後、地面にへたり込んで不幸を嘆いた。どこか分からないここ、疲れ切った身体、まるで無力な自分、死体。
「ちょっと、休もう。私も疲れちゃった」と、八は言う。座り込んだてまりの肩に手を置いたまま、すぐ隣に座った。そのまま手を横に動かして、ぷにぷにとてまりの頬をつついた。
 しばらくの間、そうしていた。太陽は、クリスマスツリーのお星様みたいにてっぺんで、まるで落ちてくる気配はなかった。
 次第に、何とか気持ちを整えたてまりは、先ほどからてまりの頭を撫でに撫でまくっている八に視線をやる。疲れた、という発言は本当のようで、八の頬に汗が滴っていた。暑いのならさっきの子みたいに上着を脱げばいいのに、とは思う。
「てまりは、さあ」
「うん」
「どこか行きたいところって、ある?」
「自分ち」
「そっかー。自分ちね。うん」
「八は?」
「私はねえ、んー……」八は空中を見上げて、続けた。「私も、自分ちかなあ」

***

 身体が、重い。
 てまりに、疲れていると言ったのは嘘では、なかった。まるで生きているみたいに、生きているみたいに、身体が疲労していた。足が痛い、息が荒い。何かに身を支えたい。座りたいと。そのどこか懐かしい感覚は、まるで自分が生きているようだった。
「ねえてまり?」
「ん」
「もしさ」
「うん」
「死体が動いてたりしたら、びっくりしない?」
「する」
「するよね」
「当たり前じゃん」
「だよねえ」
 瞼が重い。眠い。目を閉じて、そのまま暗転する視界に身を溶かしてしまいたい。生きている、みたいに。
 生きているから死ぬ。
 死んでいれば、死なない。
 それを裏付ける実験をしてみたことがあるが、それは左胸に風穴を開けただけでおしまいだった。皮膚を裂き、割って何かが入ってくる生々しい感覚は今でも覚えているけれど、それはそれ以上の意味はなかった。痛みもなく、血もなく。
 今の、生きているみたいな私には、死ぬことが出来るだろうか。それは魅力的な提案だけれど、でも、生きているみたいなのも、やっぱり、悪くなかった。死んでいるよりは、よっぽどね。

 ――だから、私は剣を手に取ろう。

「危ないッ!」私はてまりを突き飛ばし、振り下ろされた刃物を受け止める。非力な私でも、それが小さなナイフであれば、なんとかなるもんだね。
「くそッ!」ナイフを振り下ろしたのは少年だった。大体中学生くらいかな。高校受験とか親とかにうんざりしてどうこうしちゃったようなていをしている。よく分からないけど、ここみたいな無法地帯なら、間違いも犯しちゃうだろうねえ。ねえ?
「油断していると思った? 残念、油断してる私も倒せないのが君だよ」私の手には、細身の剣だった。レイピアっていうのかな。細くて長い、針みたいな剣だ。剣なんて持ったこともないけれど、案外、しっくりくるもんだ。悪くない。
「八? どういう――」当然、後ろから疑問を投げかけるてまりに、悪いけれど構っていられるほどの余裕はない。
「ごめん、後にして!」このヤンチャ坊主をどうにかしないと、と言葉を繋げる前に、少年はナイフを振るう。バックステップ、なびいた髪がかすかに切れる。くそう、私の髪は伸びないんだぞ、大事に扱え!
「あんまり、『れでぃ』に向かってナイフを振り回すもんじゃないよ少年!」
 レイピアをのど元へと突きつける。体格、運動神経にはあんまり差がない君と僕だ。攻撃をいなし、すぐにチェックメイト出来たのは、覚悟だとか、センスだとか、まああと才能だとか何だとか色々あるかもしれないけれど、どれか1つあげるとしたら武器の違いだった。
「動いたら、割と、痛いかも」なんて脅してみるけれど、てまりの手前そんなことをするつもりはあるはずもなく。少年は、ナイフを持つ手をゆっくりと下ろした。


オーナー:clown

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