名前:ハチ【Dead_or_Undead】
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:6
剣技:
 ・召喚剣<0/3/0/4/高高高/三点リーダ>
 ・召喚剣<5/0/0/1/速鏡鏡鏡鏡鏡鏡鏡/物語の端>
 ・召喚剣<5/0/0/3/速護熱衝絶絶/地の文>
 ・召喚剣<5/0/0/3/速護熱衝衝衝/台詞>
 ・召喚剣<10/0/0/1/魔魔魔魔魔魔魔/伏線>
 ・召喚剣<0/4/0/3/高高高/インデント>
 ・召喚剣<30/0/0/2/盾盾/栞>
 ・召喚剣<35/0/1/1/盾/眠気>
 ・召喚剣<5/0/0/3/速熱熱衝絶絶/伏線回収>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/行間>
 ・召喚剣<50/0/0/0//物語の端>
 ・召喚剣<50/0/0/0//物語の端>

設定:
 いつだって、一人だった。……いつだって。
 でも、一人じゃなくたって、私は。いつか一人になってしまうと知っているから。生きているのか死んでいるのか。死者と生者は、一緒にいられない。
 ならば、その手を、放そう。
 あるいは――

***

 それは、三人で夜の海浜公園を歩いている時のこと。 湿った風、曇った夜空、暗い海。それでも街灯は、正常だよ、と。私も誰も、どこか影を覚えながら、その場に立っていた。笑いあっているのに寂しくて、満ちているのに立ち止まれない。
 時に雑談は解れて、会話が途中で止まってしまうことがある。2つのサイコロを投げて、ぞろ目が出てたような沈黙。そんなちょっとしたキッカケは、しかしそんな夜には十分過ぎるほど。三人は、口を閉ざして海を眺めていた。
 再度、初めに口を開いたのは、てまりだった。なんて言っただろう、覚えていない。どことなく重い空気に、気を遣って冗談めかすことを言ったと思う。宮はそれに小さく笑って、でも空気は重たいままだった。まるで空がのし掛かっているみたいな。
 3人との生活は、楽しかった。楽しい。どうしようもない冗談で笑ったり、喧嘩したり。そんな当たり前なことを貴重にするのなんて、それがいくら大切でもばかげてる気がするけれど、けれど、自分の居場所があるというのは、大切なことだと思う。
 私の経験じゃないけど、漫画とかドラマとかでよくある三角関係だってさ。好きな人を取られるだとか、それ以上に、2人と1人に分けられるのが辛いんじゃないかな。いつも3人で歩んでいたのに、3人はお互いのことを知っていたのに、いつの間にか2人の世界が出来ていて、蚊帳の外。それは、別にある1人を遠ざけたいというわけじゃなくて、2人は2人だけの世界に浸りたいだけ。でも、それは残酷に、2人と1人なんだ。
 それは三角関係の話だけれど、社会とはそういうこと。友達というグループだって、それは友達同士で世界を共有する傍ら、それ以外を排する性質を持っている。なんだってそうだ。人がいれば、人は集まる。それは同時に、人を排すること。こぼれ落ちた人はどこに行くのだろう。どこにも居場所のない人間は。家族も、友達も、共有する過去もない人間は。
 ……私たちは、そうして出来た、余り物のグループかもしれない。アウトレットみたいな?
 でも、私は、人間ですら、ないのだ。生者と生者と死者。やがて解れる、結びつき。
 実のところ、私にだって過去はある。今みたいに、誰かと一緒に住んだこともあれば、遊びに行ったこともある。けど、ダメだった。何も食べない、息も吸わない。トイレだって行かないし、体温もない。そして、この身体。違和感を覚えない人などいない。適当な言葉でそれを繕っても、『化け物』だと、いつか見抜かれてしまう。そんな過去は、話すつもりなんてないけれど。
 いつ、消えていなくなろうかとずっと考えていた。そしたら。
「聖地温泉行かない?」なんて。あ、そういえば、と、てまりは鞄からパンフレットを取り出した。
 温泉なんて、私にはぞっとしない話だけれど、でも。旅行も悪くないなあ、と思った。……別に、猫風呂に惹かれたわけじゃない。
 それで、さよならしようと思った。その新しい土地で、私は彼らとの関係を終わりにしようと思っていた。
 けれど、それはただの温泉じゃなかった。思えば、そのパンフレットをてまりが手に取った瞬間に、私は踏み込んでいたのかもしれない。
 それは、剣の世界。死と生を分かつのは、剣の描く直線のみ。自分と他者との間より、生きた自分と死んだ自分が近い世界。
 ならば、もう少し、傍にいてみようかと思った。

***

 長い長い、奇妙な電車に揺られながら。
「もしさ、自分が幽霊だ、って気付いたら、どうする?」と、桐来は二人に尋ねた。
「なにそれ、シックスセンス?」そう聞き返すのはてまり。
「んー、そうだなー」宮は一旦言葉を区切る。「幽霊って、普通の人間とどうちげーの? 壁透けたり?」
「ん、なにも変わらないよ。でも、幽霊なの」
「なんだそりゃ」わざとらしく表情を作る。「それじゃ、なんも変わんねーじゃん」
「まあ、そうかもね」桐来は、車窓から景色を眺めた。どこか昔に、見たことのある景色。それはたまらないほどに悲しい印象と共に、心に染みついていながらも、どうしようもないくらいに楽しい今とが、折り重なって滲んで見えた。


オーナー:clown

評価数:2
(elec.)(samantha)


同じ電車のシーン。でも私とは対称的なオチかも。clownさんの文章が読めてよかったです。またいずれなんかやりましょう。 (samantha)(03/30 19時20分01秒)