名前:S
HP :0
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<10/0/1/2/命死鏡盾護/JuN>

設定:
1.シールド

 焼けつくような熱が彼を襲っていた。
 暑くは、ない。曇りの日よりも疲れるだけ。クーラーに使う電力と同じく、彼は魔力を消費させて快適度を保っている。
 だが、疲れる。シールドを自らの意思で解除を行うことはできない。暑さを感じさせない代わりに、制御のできない盾の魔法を彼はずっと保持している。

 緋森高校二号館。炎天下での途心育を彼は休ませてもらっていた。盾の張られた状態を、あまり人に見られたくなかった。
 そんな折に黒髪に声をかけられた。
「盾道部に入りませんか?」
 見覚えのある剣師だった。すぐにその正体を悟った。しかし剣師は覚えていないようだった。素知らぬふりして鎌掛けてるとも思えなかった。
「JuN……道部」
「そうです。剣道部があるのだから、盾道部があってもおかしくはないと思うのです」
「どういう活動をするんだ?」
「盾を構えます」
「それで?」
「盾を構えます」
「……………………………………」
「盾を構えます」
 JuNは身を固くする。様になっているアクションだ。これほど防御の似合う人はそうお目にはかかれないだろう。
「盾道ねえ」
「守りたい気持ちがあるのならば誰でも盾は使えます! どうでしょうか、僕と一緒に盾道部を」
「ヤだね」
 彼は廊下を歩きだす。JuNはあとを追っていく。
「なぜですか? キミには確かに守りたい人がいるはずなのに」
「!」
 記憶の片鱗を覗かせる。JuNは知っている。ただ覚えていないだけで。
(警戒したようがよさそうだな)
 彼はJuNを否定するため、ある言葉を口にする。
「俺は爆道部を設立するつもりだ」


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

評価数:2
(kusa_hen)(hosa)


☆キリッ (hosa)(05/17 16時00分17秒)

名前:S
HP :0
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/0/0/3/魔魔魔魔魔魔/ゼーブルファー>
 ・召喚剣<5/5/0/2/重重/ダンガード>

設定:
2.ソーサラー

 魔法の起源は受動にある。
 四元素魔法(火の炸撃、水の安らぎ、風の空圧、地の報復)で最も早く知られたのが、地の受動魔法「報復」だ。
 それまで地上の人々は魔法を持たず武器を持って戦っていた。
 アロエテム(AROETEM)なる屈強な男が敵国の剣師の斬撃を受けた。正中に一閃、人間の持ちうる皮下組織では鋼に打ち勝つことはできない……はずだった。
 額には血さえ流れていなかった。剣先から衝撃が走り、敵の剣が粉々に砕け、さらに衝撃はのぼりつめ、敵の腕まで粉砕する。イガバッチド(EGABBACHTEAD)はあまりの痛みに悶絶するしかできなかった。アロエテムは何事もなかったかのようにひたすらに城門を突き破る。
 右腕を失ってしまったイガバッチド。傭兵としての彼の稼業は潰えたかのように思われた。
 一ヶ月後、イガバッチドの右腕から鋭利な骨が生えてきた。それは剣の形になり、硬度もさらに増していった。イガバッチドは剣を再び手にするどころか剣と一体化してしまった。
 人々は疎んじた。剣の腕を気味悪がり、彼を町から追い出した。武力を手に入れた代わりに彼の居場所はなくなった。
 イガバッチドはアロエテムに報復するべく旅に出た。
 旅の途中で女に会った。女は「アマイフ(AMMAIF)」と名乗った。青くて長い髪が美しかった。
 アマイフはイガバッチドに寄り添った。剣の腕になにやら興味を示したらしい。アマイフは頭がよく、剣から魔法を解析した。その剣から地属性を発見した。
 イガバッチドはアロエテムの存在を話した。アロエテムのカウンターを受けて右腕がこうになったのだと。アマイフはイガバッチドと共にその原理を研究した。それは地の魔法「報復」であると彼女は名付けた。
 アマイフはイガバッチドの協力のおかげで大魔法使いになった。他の元素魔法も時代とともに解明され、大魔法時代(ソーサル・センチュリー)が訪れる。
 魔法使いは二種類へと大別された。
 一つは魔道師(ソーサラー)。知能が高く、魔を理で使う者たちだ。彼らは修練を積むことで魔法を使うことができる。アマイフはソーサラーの分類だ。
 もう一つは報復者(アベンジャー)。魔法を理解していなくても、魔法が使える者たちだ。彼らがなぜ魔法を使えるのかは定かではないが、なんらかの復讐心が霊的な力を生み出したものだと言われている。アマイフが命名した「報復」も、イガバッチドとアロエテムの確執が由来となっている。
 そういった負のイメージゆえにアベンジャーは忌まれるが、彼らの魔法は独自のもので目新しく、ソーサラーにとっては格好の研究対象となっている。
 ソーサラーはアベンジャーから新しい魔法を得ようとする。
 いにしえのこの習慣は現代でもなお続いている。

 補足。アロエテムは霊人と機人の子孫であるとの説もあるが、その真偽は定かでない。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

評価数:1
(utsm4)


フィアマがかわいいあいうえお (utsm4)(05/04 03時02分14秒)

名前:S
HP :0
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/0/0/8/盾/ランドアンバー>
 ・召喚剣<5/5/0/2/重重/ダンガード>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>

設定:
3.サンクチュアリ

 桔月はソーサラーだが剣も使えた。むしろ専門分野は武器の補助魔法(エンチャント)である。
 ソーサルスクールで魔法剣を教えていた彼女だが、魔法学会から報復課への異動要請をさせられた。桔月は当時二十歳だった。
 報復課の役割は、養成施設「サンクチュアリ」にてアベンジャーから魔法を抽出することだ。そのためには彼ら自身が魔法を理解する必要がある。報復課の教員は彼らに魔法の原理を教え、成熟させたその知識を頃合いを見て奪っていく。その知識を魔道書へと記すことで一連の過程は終了する。
 後始末として「魔法の粉」で彼らの記憶を消去すれば、その魔法はソーサラーのものになる。
 古代の戦士イガバッチドは記憶を消されて髑髏になった。その要因に魔法の粉が関わっていたとも言われている。
 桔月は一人の少年と邂逅した。
 彼の名は「蜂須賀鋭」、まだ十歳の幼さだった。
 一目見て、アベンジャーだと桔月はすぐに判別した。
(この子もまた尋常じゃない。なんて眼をしてるんだろう)
 負の精神が魔法発現に作用していくメカニズム。報復課は更生課とも呼ばれており、アベンジャーを正常な道へと正していかなければならなかった。
 桔月は鋭を拾った。サクンチュアリで養成し、耐熱の(と桔月は誤認していた)魔法を抽出する。それが本部から与えられた桔月の役目だ。
 幸いにも鋭は物分かりのよい少年だった。背伸びをしたふうもあり、早く大人になりたがっている様子だった。
 鋭は桔月の指導のもとで勉学へと励んでいた。しかし友達はいなかった。同年代のアベンジャーはサクンチュアリにもそれなりにいるが、話しかけることはしない。逆に声をかけられたこともあるのだが、鋭は誘いをことごとく断り、ついには相手にされなくなった。彼は人の温かみにもシールドを張っているようだった。
 桔月はそんな態度の鋭もまた背伸びの一つだと思っていた。
 だが、抱えていた問題は想像以上に深いものであったらしい。
 ある晩、鋭は忽然と消えた。サンクチュアリから抜け出してテロリストになったと知ったのは、それより一年後のことであった。
 桔月は鋭を取り戻すべく、組織の動向を監視していた。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

評価数:4
(supply)(nitoro)(utsm4)(kusa_hen)


名前:S
HP :0
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<30/1/0/1/毒命/メロディメモリー>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/クイックシルバ>
 ・召喚剣<5/5/0/2/重重/ダンガード>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>

設定:
4.スマイル

 鋭は笑わない。
 あの人は、愛想がよかった。陽だまりのような温かな笑顔が、佳麻はとても好きだった。
 愛していた。蜂須賀始を。
 今はもうこの世にいないが。

 桐間重工社長令嬢、桐間佳麻。
 蜂須賀始に出会ったのは、十六歳のころだった。
 始は音楽活動をしていた。柔和な表情とは裏腹に、作る音は攻撃的なものだった。佳麻には衝撃が強すぎた。鳥かごのように閉ざされた世界で生きてきた彼女に、一筋の光が差すどころか、雷が落ちて鳥かごが壊されたようなものだ。
 佳麻は始に惹かれていった。しかし父親が反対した。佳麻を海外留学させて、届かない場所に置こうとした。
 やがて始は結婚し、一児の子を授かった。
 佳麻が戻ってきたときには、恋は既に潰えていた。諦めかけた。けれど諦めきれなかった。二十代後半になっても結婚する気は佳麻にはなかった。
 そんな折にチャンスが巡る。
 始の妻が亡くなった。死因は過労死とされているが、実際のところは不明だった。
 佳麻は父に黙って始に近づく。枯れかけた恋を成就させる。始もまた、佳麻を強く抱きしめた。その胸中は計り知れない。拠り所が欲しいだけなのかもしれない。それでも佳麻は始を愛した。
 始には、鋭という息子がいた。鋭を紹介されたとき、不穏なものを感じ取った。
 笑わない。母親を亡くしたせいだろうか。
 それも時間の問題だと、希望的観測を佳麻は持った。始がいればなんとかなると、彼女は始を信じていた。鋭と一つ屋根の下で過ごせるとも思っていた。
 佳麻は令嬢の身分を捨てて、始の後妻に籍を置いた。
 ところが始も亡くなった。二人だけが取り残された。佳麻と鋭。
 そのショックで佳麻は気が狂っていく。鋭を虐待するようになる。熱湯をぶっかける。
 鋭の魔法はこのとき初めて発現した。網の目のような無数の盾が鋭の皮膚を取り囲む。火傷はしない。佳麻は鋭がアベンジャーだと認めていく。魔法学会に通報し、鋭をすぐに引き渡した。
 ふりだしに戻っていった。始を失い、鋭を捨てる。
 蜂須賀とは縁が切れたと思い、佳麻は父を訪れる。しかし父は拒絶した。受け入れてはくれなかった。佳麻にはもう桐間重工に戻る身分はなくなっていた。
 それから二年後、父の訃報。
 殺したのは「ビィ」と名乗るテロリストだ。


桐間佳麻:http://mgrt.the-ninja.jp/xdentropy/player.html#2
桐間神威:http://stara.mydns.jp/unit.php?id=4030


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

評価数:3
(utsm4)(utsm4)(kusa_hen)


名前:S
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<30/1/0/1/毒命/メロディメモリー>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/クイックシルバ>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/0/1/3/速熱熱衝絶>

設定:
5.スモーク

 「魔法の粉」の原料は、百合鴎の管理している土地で栽培されている。
 畑があった。青々とした地の花が整然と並んでいた。その植物は「デスキャベツ」と呼ばれていた。

「爆ぜろ!」
 ニット帽の少年が爆発の渦の中心にいる。ビィである。彼は畑を燃やしていた。デスキャベツ畑が消し炭へと化していく。ビィだけが何事もなく立っている。まるで台風の目のように。炎が彼を嫌うが如く。
「燃えちまえ! 全部燃えろ!」
 黒煙と白煙が交互に空へと上っていく。ビィは大きく息を吸うが、肺は煙を取りこまない。シールドが発動している限り、害を及ぼす物質は概ね弾いてしまうものだ。熱であれ刃であれ煙であれ。
 ビィにとって盾は大きな武器だった。攻撃による反動を、気にせず攻撃できるからだ。彼が会得した戦術は、近距離による爆弾攻撃。すなわち自爆攻撃であったが、受動で盾が発動するためその身にさほどダメージはない。しかしダメージはゼロではない。ビィ自身も焼けつくような熱さに苦悶の表情を見せる。盾は飽くまで軽減であって完全に防げるものではない。
 それでも彼は構わなかった。
(奪われてたまるか! この魔法は俺が復讐するのに必要なものだ!)
 感づいていた。
 サンクチュアリを抜け出したのは、学会の意向を知ったからだ。アベンジャーから魔法を吸い出し、魔法の粉での記憶を消す。魔法の粉はオクマン製薬で作られており、その原料となるものが百合鴎の管理下となるデスキャベツの花だった。学会は粉をチョウジャ・オクマンから買い取っていた。そしてオクマン製薬は、彼の両親が勤めていた会社……。
 学会はビィの敵だった。オクマンも百合鴎も敵だった。魔法の粉とデスキャベツをビィは憎みきっていた。
 だから、燃やした。
 煙が晴れていく。
 けれどまだ曇り空だ。


百合鴎:http://kaninovel.hp.infoseek.co.jp/text/xd/charactorxb.html#xb102
チョウジャ・オクマン:http://kaninovel.hp.infoseek.co.jp/text/xd/xb.html#xbk00


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

評価数:1
(kusa_hen)


名前:S
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<10/0/5/1/盾魔/マジックシールド>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/クイックシルバ>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速魔魔魔魔/(木の車輪)>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/0/1/3/速熱熱衝絶>

設定:
6.スーサイド

「キミの盾は守るためのものではなく、より強い攻撃を行うためのものですか」
 盾の剣師は彼に問う。彼は「ああ」と首肯する。自嘲気味に口角を上げる。
「俺の盾は誰も救うことはできない。俺では彼女を守れない」
 彼には既に兵士としてのスタイルが身に染みている。一度堕ちた魂の穢れを消していくのは容易くない。復讐を果たした今となっても、いまだに彼は報われない。戦の場がそこにあるならすぐに渦中に飛び込むだろう。爆弾をもって自他を傷つけるだろう。
 アベンジャーの脅威は魔法などではない。精神の予測不能な振れ幅だ。彼らの起こす行動は災厄を運ぶと言われている。
 彼も知っている。自覚はしている。けれど術がわからない。
「爆道部を設立すれば、俺はもっと強くなれる。盾が効く限界まで、俺が死ぬ寸前まで、攻撃力を最大値に高めることができるはずだ」
「そんな盾の使い方は僕が絶対に許さない!」
 JuNが彼の右腕を掴む。力は意外とあるようで、彼は顔をしかめていく。
「あんたに言われる筋合いはねえ」
 左手に持ったライターで彼は腕に火をつけた。JuNの手を払おうとした。炎が服を走っていく。半身が焼かれていく。
 それでもJuNは離さない。JuNもまた盾使いだ。左手で腕を掴みながら、シールドを張っている。JuNはシールドを前に突き出し、彼の体を貫かせる。すると炎は彼から分離し、シールドの外へと押し出された。彼はJuNの盾の中で静かに睨み据えていた。
「どういうつもりだ」
「キミを守りました」
「ふざけんな。俺にだって盾はある。俺はあんたに当てつけた」
「なぜキミは他人と同時に自分も攻撃していくんだ。僕にはそれが耐えられない。まるでキミは死にたがっているようだ」
 JuNは涙をこぼしていく。盾が使える者同士でどうしてこうも違うのか。JuNと彼は鏡に対面したかのように、姿は似てるが中身はまるで逆なのだ。光と闇、女と男、盾の剣と災厄剣、ソーサラーとアベンジャー。
「なんであんたが泣くんだよ」
 苛立つように、戸惑うように、彼は手を伸ばしていく。JuNの頬を親指で拭う。それが嬉しかったのか、JuNはあどけない頬笑みを見せる。
(なんなんだよ、こいつは……)
 彼は溜息をひとつ吐く。
(そういえばあいつも俺のために泣いてくれたんだっけな)
 彼女はまだここへは帰ってきていない。文芸部の貼り紙を目にするたびに心が痛む。
 JuNはまっすぐに彼を見つめる。
「盾道部に入ってください。盾の使い方だったら僕が教えてあげますから」
 有無を言わさぬ真剣さ。JuNは彼を守るために、彼に正しい盾の指導を行おうというのである。
 この状況で断れるほどの野暮ったさは彼にはない。
「わかった」
 盾道部に晴れて部員が加わった。
 JuNは手を差し出した。
「よろしく。僕が部長のJuNだ。えーと、キミは……」
 名を、尋ねられた。
 何と答えるべきなのか。
 Aか、Bか、それとも……。

「Sだ」

 彼もまた盾を名乗る。JuNと握手を交わしていく。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

評価数:2
(kusa_hen)(supply)


名前:S
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<10/0/5/1/盾魔/マジックシールド>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速魔魔魔魔/(木の車輪)>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/クイックシルバ>
 ・召喚剣<5/0/3/2/死鏡鏡護/錬剣術師まくろ=こすもす=りーん>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>

設定:
7.セーブ

 なえる=そむそく=おーかむ(NAEL=SOMSOC=ORCAM)は、イガバッチドの剣に興味を持っていた。
 なえるは錬剣術師だった。イガバッチドの剣を打って鍛え上げたこともある。なえるのおかげでイガバッチドは封魔の力を手に入れた。剣の魔力があまりにも大きかったために、抑えるための力も必要となっていた。

 蜂須賀鋭は罪人だ。本来ならば表の社会に復帰できるはずもない。
 しかし彼はアベンジャーだ。魔法学会の意向としては、コレクションをしたいのだろう。未知の魔法を吸い出すために鋭に教養をつけさせる。その目的を果たさぬ限り、鋭を決して殺してはいけない――ゆえに赤い船のときも桔月が常に見張っていた。鳥居恵と出会ったのは、鋭にとってプラスになったといえるだろう。
 そして現在、緋森高校二年生。素質のある者ならば、どんな身分でも入学できる高校だ。罪人でもアベンジャーでも構わない。不帯剣民が帯剣民に偽装をしても構わない。途心の扱いさえ長けていれば、そのまま居座ることもできる。緋森高校は実力主義、だが身分が実力を底上げするので、下層の者が入学するのはやはり容易いものではない。
 鋭は途心を桔月から教わった。短期間で構成を練り、「10/0/0/4/黙黙災怒1」で入学した。ただし特待生のクラスに入ることはできなかった。それでも緋森はエリート高で、鋭に学をつけさせるには十分な環境が整っていた。
 桔月は緋森高校を眺めながら、ビニール袋を手に乗せる。今は使う時ではない。魔法の粉には高熱の副作用が伴っている。鋭に使えばトリガーしかねない。
「診断書……。あの結果が本当なら」
 一刻も早く、鋭には魔法を解析してもらう必要がある。あの盾は反射しない。長年の観察から、桔月は把握しかけていた。現時点では鋭よりも熟知しているかもしれない。
 教えるべきか、否か。教えたところでこの暑さは止められないが。
 そう、今日も暑い。
 温暖化。熱帯化。異常気象。撃鉄の怒りに触れたかのように、気温は上がり続けている。
 鋭の魔法は意思(プラン)を無視し、熱によってトリガーされ、盾は維持されていく。このスキルに名前はまだない。それは彼が魔法を解析したときに、初めて名がつけられる。魔道書に登録されることで、魔法は正式に認められる。
「どちらが先に身につくかしらね、ドリー」
 桔月は少女を管理している。
 少女は閉じ込められている。狭くて暗い部屋で独り。桔月は時期が来るまで解放しない。
 恵は大切な鍵なのだ。
 Cを抑止するための――。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

評価数:0


名前:S
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<10/0/5/1/盾魔/マジックシールド>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/クイックシルバ>
 ・召喚剣<5/1/0/4/衝衝衝衝/トラップくん2号>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>
 ・召喚剣<5/0/0/2/高斬/(奪剣ギールス)>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速魔魔魔魔/(木の車輪)>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>

設定:
8.スレイヤー

 鋭は赤い船から帰還し、チョウジャ・オクマンに復讐した。数々の不当がマスメディアに報道され、オクマン製薬株式会社はブランド力を失っていく。裏取引に使っていた魔法の粉が盗まれたため、経営の立て直しができずに破産した。
 鋭はチョウジャを殺さなかった。赤い船での恵との出会いが彼を躊躇わせたのだろう。
 しかしチョウジャは殺された。首を輪切りにされていた。鋭の武器では不可能だ。ならば誰が殺したのか。
 闇は、動く。

 一方で、恵にはやるべきことがあった。赤い船で見つけた人形を直すことだ。これは壊れている。一回だけ動いているのを見たことがあるが、またエンジンが切れたように頭をもたげて座っている。恵は唇を近付けて、魔力を吹きかけようとする。ふと、彼のことが頭に浮かんでその動きを止めていく。
(私には、関係ないのに。やだっ、もう!)
 かぶりを振る。顔が真っ赤になっていく。抱きしめられた感触がいまだに背中を伝っている。筋張った手、変声期を迎えた声、泥臭い汗の匂い。
(私……、コクられて、いたのよね?)
 胸の鼓動が止まらない。タイプじゃないのに。振ったのに。彼は悪い人ではないけど、いい人でもなくて、可哀そうな人で、ちょっと怖いけど優しくて。
(もったいないことしちゃったかなあ。でも彼って年下だし……)
 だけど背伸びをしているところがまた可愛いなと、いやんいやんしているところ、人形がすっくと立ち上がる。突然だ。恵の胸へとしがみつく。
「きゃっ、ちょっ……! 取れな、あっ!」
 人形を引っ張ってみるが引きはがせない。まるで強力な磁石のようだ。
 恵が奮闘しているところへ、空から大きな箱が降る。すっぽりと覆われる。視界と意識が暗くなる。
 夢を見る。
 彼がいた。鋭でもビィでもなかったが、恵にはすぐに「彼」だと分かった。
 そしてそれは恐ろしかった。盾が赤かった。炎のように、血のように。禍々しい気が盾から発せられている。あらゆる災厄を閉じ込めた盾。傷、熱、毒、害、鬱、病、邪……。
「あなたは、誰?」
 尋ねた直後に後悔した。訊くべきではなかったのだ。
 彼は振り向いた。無数の盾の隙間から横に広がった唇が覗く。
 ゆっくりと名を紡ぐ。

「弑」

 攻撃するのは自分と他人だけではなく。
 全て――!


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

評価数:0


名前:S
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/クイックシルバ>
 ・召喚剣<5/1/0/4/衝衝衝衝/トラップくん2号>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>
 ・召喚剣<10/0/5/1/盾魔/マジックシールド>
 ・召喚剣<5/0/0/2/高斬/(奪剣ギールス)>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/3/0/3/熱絶重/燃え上がれ俺の恋>

設定:
9.シー

 霧雨乱は空山海に惚れていた。乱は女装をしていたが、海も女装の男子だった。乱の恋は一目惚れで、海が男だとは知らなかった。
 始業式後の自己紹介で「性別は男」と言われたときに、乱の思考は固まった。女装は趣味だが決して同性愛者ではない。けれど海がたまらなく可愛すぎて、理性よりも煩悩を優先してしまった。叶わない恋だった。否、海は全てを愛するタチの人間なので、実らない恋とは言い切れないが、両想いになったらそれも問題で自己嫌悪に陥るだろう。乱の恋の心境は奇怪複雑極まりない。
 ところで海は二つの人格を持っている。カイとウミ。双生児として生まれるはずの姉弟だったが、姉は栄養が足らずに胎内で死に、弟だけが生を受けた。しかし姉の精神は弟の中に生き続けた。普段はウミが表に出るため、海は女っぽい話し方をし女っぽい服を着るのである。
 乱の女装と決定的に違うところは、海は女だということだ。女装を意識してスカートを履いているわけではない。海を数ヶ月間観察して、乱はそのことに気付いていく。
(そんな事情があったなんて)
 カイが表に出ているのを何回か目にしたことがある。カイは下を向いていた。視線を恐れているようだった。いつもの元気なウミちゃんとは様子が正反対だった。
 乱はカイに話しかけた。休み時間に、何気に。
「カイくん、だよね?」
 カイは身を強張らせた。顔を上げる。
「キミは……クラスメイトの」
「霧雨乱だ。よろしく」
「キミも、男の子? なんでそんな格好を」
「へへっ、カッコイイだろ? 走るときに長い髪が揺れるんだぜ」
「カッコイイ? 女装が? キミ、頭おかしいよ」
「うっさいなー。俺はこれが気に入ってんだよ。周りにどう言われようが、俺はこのファッションを貫く!」
「……おめでたいね。僕は好きで女装をしているわけじゃないのに」
 カイは目線を斜めにそらす。「姉さん、まだ昼寝をしてるのかな」と小さな声で独白する。
 乱にはカイが今の状況を楽しんでいないように見える。ウミのせいでカイは苦しんでいるのだろうか。強い光は影を色濃く落とすものだ。
 乱はウミが好きだった。けれどウミは胎児のときに死んでいる。魂だけがカイの体に宿っている。
 果たしてウミは生者なのか。
「カイくんは、どんな格好をしたいのかな?」
「僕は普通にジャケットとズボンで……、あ、七天くんには憧れます」
「八刀か。なるほどなー。だけどウミちゃんがいるからナックルファッションはできないと」
「だから僕はいつも誤解されてるんだ。姉さんが飾った空山海は本当の僕じゃない」
「……」
 カイの話を乱はじっくり推敲する。しばらく目線を彷徨わせる。やがて口を開いていく。
「じゃあ、俺が姉さんを弑しようか」
「え?」
「俺はアサシンだ。ウミちゃんはもう死んでいるから、俺が完全に殺してやるんだ」
 別れの決意を乱はした。ウミへの恋よりカイへの情を選択した。
(カイと友達になれればいい)
 その夜、乱は枕を濡らした。海のように涙は辛い。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

評価数:0


名前:S
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/3/0/3/熱絶重/燃え上がれ俺の恋>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>
 ・召喚剣<5/0/0/1/速死鏡鏡鏡鏡鏡鏡/マック・ポティエル>
 ・召喚剣<10/0/5/1/盾魔/マジックシールド>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<15/0/0/2/護命命命回6/血の遺産>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/クイックシルバ>
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<5/0/0/2/高斬/(奪剣ギールス)>

設定:
10.サクシード

 佳麻は父の訃報を知り、帰る場所が完全に消えたと自覚した。
 組織とビィへの復讐心はあまり湧いてこなかった。ただひたすらに愛しい人の夢を見ながら空虚な生活を送っていく。
「眠るだけでその者の時を止めていける魔法ねえ」
「叩いてもつねっても起きないし、ダメージも受けていないんですよ。家賃を払ってもらわなきゃあいけないのに。かれこれ五ヶ月溜めてるんですよ」
 マンションの管理人から通報を受けて、桔月は佳麻の部屋に入る。ここへ来るのは久しぶりだ。鋭を預かってから三年も経っているのか。
「眠り姫ね。彼女もアベンジャーの仲間入りか」
 寝顔は安らかだ。桔月は佳麻を背負っていく。羽根のように軽かった。

 それからまた三年後。
 佳麻は目覚めた。近くに「彼」の気配がした。
「始さん……?」
 若かりし日に出会ったころの始の顔がそこにあった。しかし佳麻は目の前の彼が始ではないのをとっさに悟った。嫌悪の表情をあらわにした。
「鋭ね」
「あ、ああ」
 佳麻に睨まれ、鋭はやはり物怖じする。負い目がある。佳麻の父を殺したことを。
「俺は、その……えっと……、ごめん、なさい」
 ひざまずいて鋭は佳麻に頭を下げた。佳麻は鋭を見下ろした。旋毛を見る。まっすぐに伸びた髪を眺める。前髪で隠された鋭の表情を想像する。
(容姿だけは始さんに似てるのよねえ)
 鋭は成長した。肉付きがたくましくなり精悍さが増している。見ないうちにいつの間にか始と瓜二つになっている。遺伝子は受け継いでいるということか。
(中身さえ鋭じゃなければ!)
 そこで佳麻の考えは「魔法の粉」へと至っていく。桐間重工は加工薬品の製造業も携わっており、オクマン製薬に魔法の粉の製造機械を提供している。ゆえに元令嬢の佳麻はその存在を知っていた。
(鋭を消す。その体は始さんのものだから)
 佳麻は微笑んだ。天使のような笑顔を作り、鋭を静かに抱いていく。
「私のほうこそごめんなさいね。あなたには辛く当ってしまったわ」
「佳麻さん」
「ううん、お母さんと呼んでちょうだい」
 鋭は顔を上げていく。佳麻を見つめる瞳が震える。唇を丁寧に動かして、
「お母さん」
 と発音した。
 佳麻は胸糞悪くなったが我慢して演技を続けていく。鋭の体を確かめるように撫でていく。
(ああっ、始さんっ!)
 掴んでいく。始のものと確かにそれは同じだった。
 鋭は眉をひそめただけで特に何も言わなかった。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

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(elec.)(kusa_hen)


名前:S
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/3/0/3/熱絶重/燃え上がれ俺の恋>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<10/0/4/2/護護/人間=うんこ>
 ・召喚剣<5/0/0/1/速死鏡鏡鏡鏡鏡鏡/マック・ポティエル>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/クイックシルバ>
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<15/0/0/2/護命命命回6/血の遺産>
 ・召喚剣<5/0/0/2/高斬/(奪剣ギールス)>

設定:
11.スリップノット

 魔法の粉には記憶消去の効用がある。ただし副作用として高熱を伴うこともある。
 ヘイルメリーは結婚詐欺の罪を犯し、赤い船に乗せられた。船上前に薬を打たれ、顔を覆面で隠された。その覆面を縄できつく固定されてロングコートを着せられた。
 囚人ナンバー015。彼女は自身が何者なのか外から知る手段がない。
 記憶のないままに殺し合いをさせられる。
「うう、うああ」
 ヘイルメリーはボイラー室で身を固める。配管の影に隠れながら震えている。
(思い出せない……。わたしは何なの? どうしてこんなところにいるの? わたしはいったい……)
 両手で顔に触れようとするが、そこにはやはり布がある。覆面を外せない。首にも手を掛けてみるが結び目が固くてほどけない。
「わわわわたしは。わたしはわたしはわたしわたしわたしたわたさわたしたわし」
 掻き毟る。指がもうボロボロだ。どれだけ爪を摩耗させても縄が切れることはない。
 何度やっても駄目だった。ヘイルメリーは失意に満ちてうなだれる。
「大丈……すか?」
「ちょっ……JuNちゃん! ボイラー爆発しちゃうよっ! あああぁぁ!」
 どどーん。
 船がくるっと360度回転した。重力感覚が麻痺してしまいそうになる。
「………………?」
「わー、びっくりしたわー」
 ヘイルメリーは覆面の覗き穴から二人の少女を確認する。盾を持った紫色の髪の少女と、ストシューを履いた小柄な少女。
「あ、あなたたちは」
 ヘイルメリーは女性が好きだった。相手が男であれば話しかけもしないだろう。記憶は消されていても嗜好は残っているようだ。
 安心したようにして、ヘイルメリーは微笑を浮かべる。しかしその表情も覆面によって外から見えない。
「…………、……………………?」
 JuNの唇の動きをヘイルメリーは目で追った。女はやはり味方だった。危害を加える意図はないと汲み取れた。ヘイルメリーは左耳が聞こえぬ。
 右側にいるストシューの少女、えぬえむが話しかけてくる。
「その覆面、苦しそうね。綱に引っ掻いた跡がある」
 えぬえむは槍の穂先でヘイルメリーの綱を切る。覆面がするりと剥けていく。
「わっ、美人!」
 金色の髪がロングコードの肩に掛かる。ヘイルメリーは前髪を掻き上げ、露わになった両頬へと手を添えた。
「ありがとうございます。これがわたし……」
 ヘイルメリーは記憶を戻した。魔法の粉V9のベータテストに失敗した。
 チョウジャはルルーザ(監視者)から報告を受けて、傭兵を手元に呼び寄せた。
 再度テストを行って、ヘイルメリーはまた記憶を失った。今度は思い出さなかった。共に行動をしていたJuNとえぬえむもその実験に巻き込まれた。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

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(kusa_hen)


名前:S
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
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剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/3/0/3/熱絶重/燃え上がれ俺の恋>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<5/0/0/1/速死鏡鏡鏡鏡鏡鏡/マック・ポティエル>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/クイックシルバ>
 ・召喚剣<15/0/0/2/護命命命回6/血の遺産>
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<5/0/0/2/高斬/(奪剣ギールス)>

設定:
12.センテンス

 鳥居恵は箱の中に閉じ込められた。それを桔月が発見し、恵を箱の中から出す。箱に入っているものはもはや人形だけとなった。ゆえに、柿野ゆりかが鯛良から箱を渡されたときに、開けたら人形が入っていた、ということだった。
 それはトラップくん2号。しかし魔法(カラクリ)は解けている。

 桔月はそのまま恵を連れて、ある孤児院に連れていく。そこには否定術を教える先生がいるという話だ。
 Dの名を持つ者が、否定術を身につける素質があるらしい。それはDisに由来するのか不明ではある。
 鳥居恵は「ドリー」と呼ばれることもある。最初の審査には通過した。また彼女は蜂須賀鋭をビィから戻していくために否定術を無意識に使用したことがある。
 それが今度の「弑」を止める鍵となる。
「がんばってね。あなただけが彼の堕落を止められる」
「私に果たしてできるのかしら?」
 否定術は生易しいものではない。そこには様々な負の感情を体験していく必要がある。そういった意味ではアベンジャーの使う魔法と似ている。否定術師はアベンジャーの一種という説もあるほどだ。
 こうしてドリーは孤児院で修行に励む。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:S
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:5
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/3/0/3/熱絶重/燃え上がれ俺の恋>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・召喚剣<50/0/0/0//眠眠眠>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/0/0/1/速死鏡鏡鏡鏡鏡鏡/マック・ポティエル>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/クイックシルバ>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<5/0/0/2/高斬/(奪剣ギールス)>

設定:
13.スリープ

 かにせんせいはたいちょうふりょうのためきゅうさいとさせていただきます。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:S
HP :5
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防御力:0
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 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/3/0/3/熱絶重/燃え上がれ俺の恋>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・召喚剣<50/0/0/0//眠眠眠>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/0/0/1/速死鏡鏡鏡鏡鏡鏡/マック・ポティエル>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/クイックシルバ>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<5/5/0/2/重重/ザイロコーパ×2>
 ・召喚剣<30/0/4/0/>

設定:
14.サバイブ

 かにせんせいはふっかつしました。


 死んだ、と思えば生きている。ビィはさながらゾンビのように生と死を繰り返している。
「お前を殺す」
 刺客が来た。女、ではなく男だった。霧雨乱と少年は名乗った。
「魔法の粉を渡せ」
「今は持っていない」
「どこにある」
「さあな」
 乱はビィに襲いかかった。ブーメランを投げた。ビィは避けた。その隙に乱は間合いに入る。回し蹴り。ザイロコーパで受け止める。ビィの頬に赤い線が一筋走った。
 靴から刃が飛び出している。スカートの下はトランクスだった。
「やるねえ」
 ブーメランが返ってくる。ビィは膝の力を抜く。帽子の上をブーメランが掠めていく。乱は片手でブーメランを受け取り、一回転して斬りつけた。ザイロコーパが弾け飛ぶ。曲線を描いて落ちていく。
 ビィは接地する前にザイロコーパをキャッチした。あと少しで爆発するところだった。肩に担ぐ。
「こいつはあんたに使うものではないんでね」
 背中を向けて去ろうする。ビィには乱と戦う意思はないようだ。ところが乱には彼を弑する役割が与えられている。隙だらけの背中へとブーメランを投げようとしたが。
(やる気、なくなっちまった)
 乱は無気力に手をおろした。戦った感触からして噂に聞いていた人物とは到底同じとは思えなかった。
「おっかしいなあ。確かにあいつ、蜂須賀鋭でビィだよなあ。うーむ」
 頭を斜めに傾ける。乱はあることを思い出し、その背中を再び追った。
「そうだ、魔法の粉! あいつから在り処を聞きださなきゃなんねーだった!」
 それはウミを殺していき、カイを生かすためだった。
 魔法の粉には記憶を消す効力がある。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

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HP :5
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素早さ:5
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 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/3/0/3/熱絶重/燃え上がれ俺の恋>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・召喚剣<50/0/0/0//眠眠眠>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/0/0/1/速死鏡鏡鏡鏡鏡鏡/マック・ポティエル>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<5/5/0/2/重重/ザイロコーパ×2>
 ・召喚剣<5/5/0/2/絶絶/ザイロスティング>
 ・召喚剣<30/0/4/0/>

設定:
15.シークレット

 秘密結社「ユートピオ」。ビィの所属していた組織だ。
 ユートピオは非帯剣民から構成され、帯剣民に反逆すべく結成された組織である。宗教法人「希望世界」と密接な関わりがあるとのことだ。
 蜂須賀鋭はサンクチュアリから抜け出した。サンクチュアリを取り仕切っている会長がチョウジャ・オクマンと契約を交わしている場面を、偶然目撃したからだ。
 それは魔法の粉だった。取引の材料に用いられていた。魔法学会はオクマン製薬から粉を買い、それを「用済み」のアベンジャーに投入していた。つまりアベンジャーの魔法を完全に抽出してからだ。鋭はまだ自身の魔法を理解できてはいないので、今のところは優しい教師たちが魔法の原理を教えてくれる。しかしそれも、魔法を抽出されるまでだ。
 鋭は学会のシステムを幼いながらに暴いていた。魔法をここで理解したら、チョウジャへ報復できなくなる。つまりチョウジャへの復讐心も魔法と共に忘れてしまう。サンクチュアリの中にいるのは、チョウジャの掌にいるのと同じだ。
 ゆえに鋭は逃げ出した。不完全な盾の魔法を身に付けたまま。彼には行くあてがなく、路頭を彷徨い続けていた。
 そんなとき、トラジと名乗る男に出会った。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:S
HP :5
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剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/3/0/3/熱絶重/燃え上がれ俺の恋>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<50/0/0/0//眠眠眠>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/0/0/1/速死鏡鏡鏡鏡鏡鏡/マック・ポティエル>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<5/5/0/2/重重/ザイロコーパ×2>
 ・召喚剣<5/5/0/2/絶絶/ザイロスティング>
 ・召喚剣<30/0/4/0/>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/鏡の国のアリス>

設定:
16.スキル

 ザイロコーパ。「木を切り刻むもの」の意。
 誰がその武器のことを名付けたのかは覚えていない。打、刺、爆の三位をもって相手を破壊していく武器。棒の先に球体があり、球体の先に針があり、球体の中に火薬がある。
 ビィはそれを両手に持つ。普段は刺で使用するが、相手によっては爆を使う。ザイロコーパを爆発させれば、熱と破片で大ダメージを与えられる。しかし武器は壊れるので、しくじることは許されない。ゆえにビィはより確実に相手に命中させるために、至近距離で爆を使う。当然ビィも巻きこまれるが、そこで彼の特性である「盾」が発動してくるのだ。トリガーは熱。爆発を受けても相手ほどのダメージはなく、軽い火傷で済むほどだ。
 これがビィの戦闘スタイル。三種の技を駆使していく。
 ザイロノック。
 ザイロスティング。
 ザイロボム。
 そして「盾」。これは魔法だ。
 名前はまだ不明である。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:S
HP :5
攻撃力:0
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素早さ:5
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/3/0/3/熱絶重/燃え上がれ俺の恋>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<5/2/0/2/速熱熱絶絶/焦熱>
 ・召喚剣<50/0/0/0//眠眠眠>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・召喚剣<15/0/0/2/速鏡熱魔絶/刀の精霊石>
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<5/0/0/2/命命命命命死死/ザイロボム>
 ・召喚剣<5/5/0/2/重重/ザイロコーパ×2>
 ・召喚剣<5/5/0/2/絶絶/ザイロスティング>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/鏡の国のアリス>
 ・召喚剣<30/0/4/0/>

設定:
17.スキャン

 鏡は盾ではない。けれど鏡は盾にもなりえる。
 その日の気温は四十度を超えていた。Sの盾はまた発動されていく。止められない。
 盾は熱を持ち始めた。やがて光り輝いた。
 Sとよく似た少年が盾の中から這い出てきた。自分の一部を切り離されたようだった。
 そいつは笑いかけていく。上半身の服を脱ぎ捨て、オールバックに頭をまるめた。
 そいつは全てを取り込んでいた。「弑」と名乗った。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:S
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:5
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/3/0/3/熱絶重/燃え上がれ俺の恋>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>
 ・召喚剣<5/2/0/2/速熱熱絶絶/焦熱>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱衝衝/ザイロノック>
 ・召喚剣<50/0/0/0//眠眠眠>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・召喚剣<15/0/0/2/速鏡熱魔絶/刀の精霊石>
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<5/0/0/2/命命命命命死死/ザイロボム>
 ・召喚剣<5/5/0/2/重重/ザイロコーパ×2>
 ・召喚剣<5/5/0/2/絶絶/ザイロスティング>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/鏡の国のアリス>
 ・召喚剣<30/0/4/0/>
 ・召喚剣<[50/0/1/2/連熟衡艶/徘ぬ清零右>

設定:
18.スプリット

 すべてをCするあの男は、Sに襲い掛かってきた。
 クラッシュ、クライム、クレイジー。
 拳をひとたび振り上げれば、その空間にはCがまた現れる。分裂する。埋め尽くされる。座標がCに占拠される。
「なんだ、こいつは」
 Sは武器を両手に持つ。爆発させる。Cを焼き払おうとするが、例の盾がCのすべてを守っている。むしろ盾は鏡となり、爆発はSに跳ね返る。二倍となって。カウンター。
「ぐっ」
 耐え切れない。Sの盾には耐熱はあるが、断熱ほどの効果はない。
 全身を炎で覆われ、Sは地面に倒れていく。Cは笑う。
「その命も終端に行く。お前も我になるのだ」
 CはSに手を伸ばした。
 そのとき、否定された。
「終わらないよ!」
 槍を手に持ち、ウェーブの髪が風に揺れる。
 Cは薄れゆく意識の中で確かに彼女の姿を見た。
 Dだ。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:S
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:5
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/3/0/3/熱絶重/燃え上がれ俺の恋>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>
 ・召喚剣<5/2/0/2/速熱熱絶絶/焦熱>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱衝衝/ザイロノック>
 ・召喚剣<50/0/0/0//眠眠眠>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・召喚剣<15/0/0/2/速鏡熱魔絶/刀の精霊石>
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<5/0/0/2/命命命命命死死/ザイロボム>
 ・召喚剣<5/5/0/2/絶絶/ザイロスティング>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/鏡の国のアリス>
 ・召喚剣<30/0/4/0/>
 ・召喚剣<10/2/4/1/絶/紀元槍2>
 ・召喚剣<[50/0/1/2/連熟衡艶/徘ぬ清零右>

設定:
19.サバイヴ

「すべてではない」
「弑さない」
「あなたは誰ひとりも殺さない」
 DはCを否定した。dis-った。それはCへの屈辱だ。
 しかしCは反撃する。分身をまた増やしていく。「すべてではない」なら「いくつか」だ。ゼロではない。イチでもない。
「いくつかでもない」
 分身が消えた。Cが取った対策をDがことごとく粉砕した。絞りこまれた。
 一人になる。
「や、やめろ」
「やめない」
 否定。
「我を消せば、この男も消されるぞ」
「後半の節だけ否定するわ。あなたを消しても彼は消えない」
 そして最後にDは唱える。
「あなたを否定する――!」


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:S
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:5
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/3/0/3/熱絶重/燃え上がれ俺の恋>
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝死/Cの微熱>
 ・召喚剣<5/2/0/2/速熱熱絶絶/焦熱>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱衝衝/ザイロノック>
 ・召喚剣<50/0/0/0//眠眠眠>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/イガバッチド>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・召喚剣<15/0/0/2/速鏡熱魔絶/刀の精霊石>
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<5/0/0/2/命命命命命死死/ザイロボム>
 ・召喚剣<5/5/0/2/絶絶/ザイロスティング>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/鏡の国のアリス>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡魔魔鏡魔魔/不完全性>
 ・召喚剣<30/0/4/0/>
 ・召喚剣<10/2/4/1/絶/紀元槍2>
 ・召喚剣<40/0/0/1/死/(了)>
 ・召喚剣<[50/0/1/2/連熟衡艶/徘ぬ清零右>

設定:
20.スペシャル

 Cは存在そのものを否定された。つまりCは「弑」ではなく、ブレイスヴァでもなくなった。なくなったまま消えていった。
 脅威はもう過ぎ去った。

「おっはよー!」
 天真爛漫溌剌元気少女、空山海のいつもの挨拶。
 乱はウミをいざ前にすると、彼女を弑していくことに、やはり躊躇いを覚えていく。
 これも命なのではないか?
 ダブルライフ。体は一つしかないけれど。
 乱はウミに話しかけた。
「ウミちゃんさー」
「ん?」
「男の格好をしたいと思ったことはない?」
「えー。かわいくないよー」
「八刀みたいなファッションってカッコイイと思うんだよな。カイくんがそう言ってた」
「ええっ? カイが? あの引きこもり少年が……。あの子、自主性があんまりないから、好き勝手にメイド服とか着せちゃったのに」
「本当は男らしくしたいんだって。俺も男装をしたウミちゃんが見てみたいんだよなー。たまには着てもいいんじゃねえかな?」
「乱ちゃんにそう言われちゃうと……。えへへっ、たまにはサービスしちゃおうかな☆」
 そんなわけで、m100のエンディングに辿り着く。

 鋭は盾道部でJuNの指導を受けていた。さすがJuNは盾のスペシャリストであり、その使用を心得ている。
「盾を構えます」
 それだけでも守護者の精神は鍛えられる。禅の修行と同じようなものなのだ。
 道場の入り口から少女たちが現れる。
 恵とゆりかだ。
「がんばっているみたいだね」
「ドリー。もう学校に戻れるのか」
「うん。これからはいつも通りに文芸部で活動するの。ユーリカンをずいぶん待たせちゃったからね」
 ショートカットの眼鏡の少女は鋭を睨み上げている。部長の留守はこいつのせいだと言わんばかりの圧力だ。鋭は少し物怖じする。
「すまない。俺はもうドリーを巻き込むことはしない。これからは他人として振舞うよ」
 燻り続けた恋心にもようやく消沈の時が来る。届かないと知っている。諦めなければならなかった。
 それでも恵は意地悪にも微笑んだ。
「私にとってもあなたは特別だったんだ。いろんな意味で。だから、ね、文芸部と兼部しない?」
「部長! 私は反対です! なんでこんな学のなさそうな男を!」
「悪かったな。俺はどうせ特待クラスに入れなかったんだからな。それでも俺はあんたに勝てる」
「うぐっ」
「やめようよ、ケンカは」
 JuNが鋭とゆりかの間に割って二人をたしなめた。二人は渋々身を引いた。
 平和だ。

 マンションに戻ると佳麻がいる。彼女が何を求めているのか鋭には既にわかっていた。
 いつものように佳麻を抱いて、いつものものを差し出していく。嬉しそうに佳麻はそれにしゃぶりつく。
 佳麻の髪を撫でていく。耳元で「愛している」と息を吹く。
 鋭は父の演技を続けていくしかない。
 こうでもしないと佳麻からの愛はもらえない。
 母親に愛されない。
 二人に血は繋がっていない。


オーナー:かに

(出典:マーガレット百年戦争)

評価数:1
(elec.)