名前:No.002の場合
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:2
剣技:
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・裏切書簡

設定:
人間には二種類ある、支配する側とされる側だ。

いつものように喫茶店へ行くと、いつものように彼はいた。
私は決まったとおりに反対側に座り、オーダーを通すことなく、彼と対面した。
「仕事の方はどうだ?」
ここまで、いつも全く変わらない流れ。寸分の狂いなく配列された運命。
私もまた、それに従う。
「上々です、いつも通り」
それはよかった、と目も合わさず彼は外を走る浮遊駆動車(フロートカー)の列へと視線を送った。
「・・・今度はこれだ」
彼は目をこちらに向けることなく、置いてあった大判の茶封筒を一枚こちらに寄越した。
私はそれを受け取る。今、中身は見ない。外に出てから見る。そういう決まりだ。
恐らく、いつもと同じように"これ"に場所が指定されているのだろう。私の仕事をする場所が。
私はこの後、無言で立ち去り、外へ行く。それが望まれた道だ。
「すいません」
運命の車輪を外したのは私の一声だった。彼がこちらに視線を戻す。
「これに何の意味があるんですか」
私は、ずっと、ずっと前から思っていた疑問をついに口に出した。
これ、とは勿論今渡された仕事のことだ。
彼は片側の眉毛をくっと上げて、怪訝な顔をして見せた。
「これ、とは?」
案の定、とぼけられる。
「今受け取ったモノです、ひいては今まで私がいってきたこと、その全てです」
ふん、と彼は少しソファへと持たれ、胸をこちらに張った。
「その質問に何の意味が?」
「意味は、私の疑念を振りほどくことで、より効率的な仕事が可能になるでしょう」
「私はボスに、お前に仕事を与えろ、とだけ言われている。さらに、その言い分だが、真実を知ったお前が仕事の効率を低下させる可能性だってあるわけだ。最悪、実行不可能にだってなりうる」
「やはり、あれはそういうことなんですか」
「・・・ナユタ」
彼は、入社以来、幾許かぶりに私の名前を呼んだ。合わせてめつきがスッと細くなる。まるで鷹のように。
「・・・はい」
両肘をテーブルへと預け、彼は手を組んで眼だけを私に意識させた。
「いいか、私たちの役割は、ボスの手足となることだ。言うなればボスはブレイン、我らはボディだ。ブレインの考えていることを疑うパーツは、欠陥品だと思わないか?」
「それなら、何故私をあの牢から解放したのですか。純粋なパーツを求めているなら、あなた方もああいう施設を作ればよかったのでは」
私の言葉を聞くと彼はフーッとため息をついて、額を手にあて顔を伏せた。
「レプリノシスが世に出てはや20年になる」
彼は顔を伏せたまま唐突に言葉をついた。
「人間は最終的な労働力として機械ではなく、人造の人間を選んだ。人権を持たない人造人間。飽く迄、道具にすぎない生命。21世紀も半ばにして、人類は宇宙と深海、さらに、空間に手を伸ばした。労働力はいくらあっても足りない。特に宇宙、あんな場所へは人間は行きたがらないし、行って開拓できるほど連中は優秀な労力をもっていなかった。ついこないだ設立された月面基地もレプリノシスの功績だ。今の人類の文明、それはレプリノシスの労力の結晶といっても過言ではない」
彼はそう言うと、チン、と近くにあるボタンを叩いた。それと同時にわざと水の入った手前のコップを横に倒す。
水がテーブル一面に広がりゆく、一方でボタンの傍にある四角い映写版から小人のようなウェイトレスの立体像が現れお辞儀をした。
『ご注文をお伺いします』
「すまない、水をこぼしてしまった。拭きたいがナフキンが足りないので持ってきて欲しい」
レストラン用に仕立てられた人工AIがテーブルの温度、一連の状況を読み取り僅かに思考する。
自らの処理が出来る注文のキャパシティを超えていると判断したそれは『従業員に取り次ぎますのでしばらくお待ちください』とお辞儀をして消えた。
従業員を待つ間、彼は再びフロートカーの列を眺めはじめた。
・・・否、それは違った。彼は宙を走るフロートカーを見ているのではなく。
見ているのはその先にある、立体映像だった。
初老で小太りの男の顔が大画面で口を動かしている。
私はその男を知っている。人間側の大統領だ。最も、世間一般に流れている彼が大統領という裏づけは、毎度放映される映像だけであるが。
私はテーブルの裏にあるケーブルを体内挿入式情報伝達機器(インプラント)の差込口に入れて、その立体映像の情報を検索をした。
大統領の演説がすぐに見つかり、そのチャンネルを開く。
この一連の動作は全て私の脳内で完結し映像や個人情報が映像となって外に出ることは無い。

・・・体内挿入式情報伝達機器(インプラント)。人間がWIC(ワールドインターコミュニケーション)を可能にした被造物管理局の発明品。新時代の利器だ。
これを体内に埋め込み、脳波と連結させることでサーバーと繋がっているケーブルさえあれば何時でも、ありとあらゆる世界を覗き情報を得ることが出来る。この星なら、どこでも。

”被造物管理局は我々に永遠の平和と発展を約束するものであり、人間、レプリノシスの隔てなく、平等な世界を築くためにある。偉大なる兄弟たちよ。団結せよ。我らは争うべきではないのだ。永遠の発展のために!”

それは大統領の所属する人間側最大の組織、被造物管理局の演説であった。
インプラントにより同じように演説を聞いていたであろう彼は、大統領の言葉にフンと鼻を鳴らした。
「お待たせいたしました」
制服を着たウェイトレスがナフキンをきっちり必要な分だけ手にして私たちのテーブルに来た。
私はウェイトレスを見る。整った顔立ち、流行のアイドルのような。綺麗な白い肌、美しい黒髪、まるで作り物のような・・・いや、真実、彼女は作り物なのだ。
レプリノシス、生きた人工的な労働力。
その証拠に彼女には右手にリングをしていた、そして恐らくその覆われた手首の下には認識用のバーコードがあるだろう。
「お拭きいたします」
「すまんね」
彼女はナフキンを手にして、ゆっくりと機械的にテーブルの上のこぼれた水をふいていく。溢れた水がナフキンに吸収され、元のテーブルに戻る。
私は彼女のその手つきをじっと見ていた。
窓の外では大統領の演説がまだ続いている。
拭き終わると、彼女は一礼して店の中へと去っていく。
「人間は」
彼女が去ったのを見計らい、彼は一間置いて、ゆっくりと、諭すように口を開いた。
「人間は、レプリノシスを道具としか思っていない。例えば、今来た彼女を殺した場合は殺人罪ではなく、器物破損だ。強姦した場合も同じ、なぜなら彼女はこの喫茶店の所有物だから。
全く素晴らしい階級制度じゃないか。レプリノシスにはインプラント手術も受けられない。レプリノシスが人間を上回ることはあってはならない。
所有者からレプリノシスが逃げ去れば、射殺は放免されている。そして一般的なレプリノシスの寿命は約10年。子供ではなくすでに成体レベルで生産される…遺伝子操作の影響で長く生きて15年だ。人間より優れた能力と外見を持ちながら、その一生は短い。レプリノシスには家族もいなければ、友達もいない。だが、それでも人間は…いや、それだからこそ、人間は我々を道具としてみている。そして、その果てが特殊施設・・・能力開発研究所」
彼が何気なく発した言葉に私はピクリと反応した。
「君は自分が今まで何をされてきたか覚えているか?No.002」
ずん、とその数字が私の上にのしかかる。右手が少し痛んだ気がした。
「レプリノシスに人権は無い。だから、普通の人間ではできない、ある特殊なことが可能だ」
「・・・特殊環境下での任務遂行のための能力開発、並びに人体実験」
私は喉をきりりと締められたかのようにその言葉を吐いた。
「宇宙環境で生き残るための適応。人間の規格から外れた災害、事故を処理、制御するための新しい人造人間。お前のいた施設だ。No.002。
お前は、どうする?我々のやっていることが異常、違法だからと言ってどうするつもりだ?結社を出たとしてお前に何が残る。
社会に適応できない能力と、違法インプラント。人間の家畜にでもなる気か?」
「それは、脅迫ですか」
「そうかもしれん、だが、全て事実だ」
彼はしれっとした顔で私の前にいる。
「結社の目的は、レプリノシスに人権を与えることだ。それを望んで君も結社に入った。助けた我々にも責任はある。
だが、結社の目的はただ一つ。それだけだ。君のやってきたことは、人間によってさせられそうになったことと比べればずっと人間らしいことだ」
人間らしい、その一言が私にはひどく不快だった。
人間。私は人間ではない。レプリノシス。道具の命。
私は何のために生きて、生かされているのだろうか。
この目の前の男が属する組織も、私が元いた施設も同じではないのか。
牢の外に出ても所詮それはより大きな牢の中なのだ。
私にはわからなかった、正しいことが。正しい存在が。
右手を見る、あのバーコードは今は無い。跡形もなく、皮膚移植の後さえなく。
自由・・・今は自由が、ただ欲しい。
誰にも咎められることなく、誰に問われることもない自由。
だが、やはりそのためには払うしかないのだ。犠牲を。
この得体の知れない組織に力を貸すしか。可能性は。
「・・・ボスに会わせてくれませんか?仕事はします、しかし、私にはわかりません。
この結社の意味が。勿論、今の人間社会が正しいものだとも思っていません。
だから、確信が欲しいのです。この組織の頭であるボスが、本当に私達の味方なのか」
彼は私の言葉を真摯に受け止めているようだった。
だが、口を開いたかと思えば閉じ、躊躇いの感情がみてとれた。
「掛け合ってみよう。あの方はわけあって顔をめったに出されぬからな・・・手紙を出して返事を待つ」
最終的に譲歩は成立した。
「だが、もし返事がこなかったとして、結社を見限るような真似はして欲しくは無い。
あの方は特別なのだ」
「何故そこまで・・・」
「会えば解る。あの方なら世界を変えられる。そう信じて止まぬからだとしか言えないな」
俄然興味は沸く。今の人間社会で反社会体制を取ればそれはすぐさま検挙される。
聞けばこの結社、"Big Brother"は数十年も前から活動しているという。
只者ではない、多くの人間とレプリシスを従え、末端である私の戸籍やインプラントまで確保するというのは。
「・・・わかりました。今回の仕事は確実に済ませます、ですが、次はわかりません。その時に、また」
これ以上の話し合いはない、と思い。私は席を立った。
大統領の演説も何時の間にか終わっていたらしい。
私は喫茶店を出て、空を仰いだ。
青空は無い。天幕は人間が用意した天体スクリーンで覆われている。
作り物の世界と私に、相応しい景色だと、そう思った。


オーナー:nitoro

(出典:マーガレット百年戦争)

評価数:1
(GeoK)


名前:シャルロット・セクサロイドの場合
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:2
剣技:
 ・召喚剣<5/5/0/2/高斬>
 ・召喚剣<20/0/0/2/鏡鏡鏡鏡/地獣ホドモラワ>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・裏切書簡

設定:
シャルロットは朝を知らない。

 彼女は高品位のレプリノシスであり、娼婦である。
素晴らしく美しい顔立ちで白銀の艶やかなブロンドを揺らし、彼女は毎夜"起動"される。
顧客からの依頼でスリープ状態から覚醒し、客の待つ部屋と向かうのだ。
 レプリノシスの寿命は短い。だから、彼女のような高級タイプは本来の役目――彼女の場合は売春であるが――以外の行動を抑制されていた。
生まれた時からプログラミングで固定され、持ち主と客を全身を使って悦楽させることしか出来ない。
 活動期間は夜だけ。だから、シャルロットは朝を知らない。
 シャルロットは当然、自分が何故生まれて何故夜にしか活動できないのかなど考えない。
人間にとって都合のいい、人権の無い肉機械。それがセクサロイド・レプリノシス。
 快楽の渦の中心で、顧客が満足し開放されるまで夜は続く。
そういうポーズをしろ、と言われれば股も開くし、扇情的に胸を持ち上げたり挟んだりもする。喘げと言われなくても、透き通る少女の声から経験豊富な女の声で望まれるままに喘ぐ。
今日も彼女は滑らかで傷一つ無い真珠色の肌を、人間のために汚し、中も外も隙間なく侵略される。それしか彼女の存在価値は無い。

 事件の発端は情事の全てが終わり、明けない夜の天幕の下、帰りのフロートカーを待っていた時だった。
人が倒れていたのだ。薄い絹を一枚纏っただけの、橙と赤の混じった髪色の少女が。
 レプリノシスの最低限の基本行動として、倒れている人が人間である可能性もあるため救助を行わねばならない。
シャルロットは機械的に、少女を抱きかかえ容態を見た。気絶しているだけらしい。
 端正でガラス細工のような顔、シャルロットはすぐさま彼女の右手を見た。バーコードがある。レプリノシスだ。
そこから先は、少々規定から外れた行為だった。彼女自身、よく覚えていないし、分からなかった。
 シャルロットは少女を抱え、迎えのフロート・カーへ乗せた。
運転手もまたレプリノシスであり、詮索はしなかった。
 やがて、ビルへ着き、チューブ式の反重力エレベーターに乗って彼女の私室へ向かう。
シャルロットは少女を抱きかかえたまま部屋の中へ。

 彼女はまず最初に、濡れたタオルを用意して少女の身体を拭き始めた。
薄い絹のローブを剥ぐと、歳相応の純真な玉肌があらわになる。
 自分の身体を見ても何も感じないシャルロットが、どうしてか、この時ばかりは少女の肢体を美しいと思った。
歪みの無い骨格と発達途中の腰のライン。そっとタオルを当てて汚れを落としていく。
水滴が肌に潤いをもたらし、輝く。瑞々しさが露となって健康的な情念を掻き立てる。
ひんやりと当たるタオルが体の芯に障るのか、少女はたまに「う、ぅん」とくぐもった声を響かせた。
シャルロットは思わず彼女の無垢な体の最奥に手を伸ばしかけたが、ぐっ、とタオルを握って堪えた。
 自分は何をしているのだろう。シャルロットにとってそれは未知の感情だった。
何千という男の今まで相手をし、また人間の女の注文にすら応えてきた。
同属のレプリノシスと絡まされたこともあったし、綺麗な彼等の体や顔を見ても何の情念も抱かなかったというのに。
如何なるエロスの象徴にも靡かなかったシャルロットの心が、強く目の前の少女に惹かれていた。
あるいは、その汚らわしい棒状の罪を連想させぬ、処女のような彼女の肢体がそうさせたのかもしれない。
 とにもかくにも、シャルロットにとってこの少女との出会いは、彼女が初めて処理しきれない感情の波となって自身を襲った。

もし、許されるなら、あぁ。

 彼女は似合わぬため息をついて、先ほどより強い手つきで目の前の肉塊を拭き始めた。
拭き終わると、自分の衣装棚からドレスを一着出し、そっと彼女に着せた。
 あとは水か牛乳でも飲ませるべきだろうか、あぁ、しかし薄桃の溶けた少女の唇を見るとやはり・・・
 普段ならお気に入りのボトルを一本開けて、ソファでくつろいだ後スリープ状態に陥るのが習慣であったが、今ばかりはそうもしていられなかった。
酒を飲んだ自分を制御する自信など今のシャルロットにはない。
 それよりも重要なことに彼女は思い当たる。それはスリープ状態に入ることに今さっき、初めて疑念を持ったことだ。
スリープする、ということはつまり、今宵はもうこの少女の面倒を見れないということ。
 シャルロットにとって、それは初恋の恋文を目の前でズタズタに破られるのと同意義であった。
いつもの装置に入って睡眠薬を飲む、それだけの単純な行為がシャルロットには拷問に思えた。
 もし、私が寝ている間にこの少女が目を覚まし、外へ出ていってしまったら?
 もし、私が寝ている間に誰かがこの部屋に侵入し、彼女を襲ってしまったら?
 取り留めの無い疑念は沸き続けた。シャルロットのような完全自律式のレプリノシスにとって、これは異例の症状だった。
彼女自身、自分が今どうして混乱しているのか分からないのだろう。
ひどく焦る。どうするべきか。彼女が起きるまで、清々しい朝を迎えるまで、どうにかして私が傍にいる方法はないものか。
 ふと、彼女はあることを思い出した。すぐさま服を脱いで衣装を着替える、動きやすいラフな服に。
 そして、戸棚からお気に入りのボトルではなく、度数の極めて高いものをタン、と置いたグラスに波々とついで一気に煽った。
小物入れからは一つの鍵とキーカードを持ち出し、無造作にポケットに突っ込む。
タンタンと強く脈打つ足取りでシャルロットは少女を抱え、部屋を出た。
 さきほど来た道を戻り、ビルの前へ。そして通話する。自分より下位のレプルノシスに、あるフロートカーを一台持ってくるように。
それは彼女がいつか相手をした男からの貢物だった。
全くの無用の長物だと思っていたが、それが彼女の決意を固める役目を果たした。
 自走するフロートカーが来ると少し衣服の乱れた少女を車内に押し込み、シャルロットは運転席に乗り込んだ。
音声を入力し、夜の雑踏へと走り出す。

 天幕の隅では朝焼けの白みが見え、夜がまさに明けようとしているところであった。


オーナー:nitoro

(出典:マーガレット百年戦争)

評価数:2
(suika)(hosa)


名前:ヒコの場合
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:2
剣技:
 ・召喚剣<20/0/0/2/鏡鏡鏡鏡/地獣ホドモラワ>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<[5/0/0/2/速速衝衝死死死/柿client]>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>

設定:
ヒコが呼ばれたのは管理局のある一室だった。
上司とその部下との三者で薄暗い取調室の中、今回の事件について話し始めた。
「ヒコ、今回のお前の仕事は逃亡したレプリノシスの確保だ」
「・・・・・・」
「ある施設から5人のレプノシスが逃亡した。皆指名手配済みだが、何分人手が足りなくてな。
お前にも出てもらうことになった」
ある施設とは何か。そもそも"生産"されるレプリノシスには普通、体煮に特別な検知機器が埋め込まれており、逃亡したところですぐ捕まるはず。
だが、ヒコはそのような疑問を浮かべても言葉にはしない。右手首のバーコードが彼女を縛る。彼女もまたレプリノシスなのだ。
なによりヒコは勘付いていた。ある施設とは、恐らく”あの施設"だ。
かつて自分が同胞といた、あの…しかし、一体どうやってあの施設から逃げたのだろう。
あの時のような奇跡でも起こりえない限り、あそこからは脱出不可能のはずだ。
「質問が」
「なんだ?」
「彼等はどうやって逃げた?」
「…まぁ、お前には知る権利があるだろう。もっとも言わなくても、その施設がどんなものかもうすうす気付いているかもしれんが。
連中は特殊な力を持っている。中でも一人、強力なのが施設の一部を破壊して脱走した…そこで、お前にお鉢が回ってきたのはそういうことだ。
それに、今回の捜査はお前の能力を試すためでもある。果たして新型のレプリノシスがどれほど人間に役立つのかという、な。確保と言っているが、無理なら殺しても構わないそうだ」
ヒコは答えない。余計なことを喋る権利が認められていないなら、喋らない方が楽だと言うことを彼女は人間社会で散々知らされていた。
「ついでといっては何だが、最近偽造カードの事件が頻発している。あちこちをまわって調べておいてくれないか。ちっとも足がつかない分、何か大きな組織の働きを感じるが…頼むぞ」
上司から資料の入ったインプラント用の端末を半ばふんだくるように受け取ると、ヒコは黙って部屋を出た。
彼女が部屋を出た後、上司と部下がひそひそと話しを始めた。
「…相変わらず無愛想と言うか、人間に対する態度がなっていませんね、あのレプリノシスは…良い身体してんのになぁ」
部下の男はヒコの引き締まった臀部や、肉体労働をするために鍛えられたあの、娼婦などと違った健全な肉付きを思い出し悪い顔をした。
「手を出してもいいが、間違いなく返り討ちにあうぞ。あいつには人権があるからな…ま、アイツも元々、施設から脱走したレプリノシスだからな」
「え?マジですか」
「お前みたいな下っ端はしらんだろうが、うちのボスが拾ったんだよ。脱走して生き倒れている所を…901事件って知らんか?」
「あの、今回と同じ特殊能力開発研究所が爆破されたっていう…」
「アイツはそこの生き残りだよ。態度はいけ好かないが、仕事能力は本物だ。相手が化け物なら、この上なく適任だということで、同じ化け物のアイツが選ばれたのさ」
「へー、初めて知りましたよ。それで、何が出来るんですか」
「知らんよ。アイツがそういう力を持っているってこと自体、俺としちゃ眉唾モンだ。能力を使うところをこの目で見たことはない。ただうちのボスがアイツを拾い、新型のレプリノシスと銘打って人権を与えられたのは確かだ。きっと何かと特別なんだろうよ」
「レプリノシスに人権ねぇ…」
上司はそう言いながら、ある映像をインプラントを通してみていた。
それは、レプリノシスたちが脱走した施設の映像…正確にはその残骸。
施設は明らかに人間の所作では不可能な壊れ方をしていた。
合金で作られた支柱や天井の部品がポップコーンのように散乱している。
建造物の一部一部が、まるで自分から爆発したような。
得体の知れない不安を抱えながら、上司は先ほど出て行ったレプリノシスの跡を目で追うばかりだった。

ヒコは早速インプラントから逃亡犯の情報を引き出していた。
男性型が3人と女性型が2人。顔写真もあった。能力については書かれておらず、彼等はどうやら惑星開拓のために作られたらしかった。
ヒコ自身は能力開発の実験段階であるため、作られた時は明確な目的はなかった。
そういう意味では彼等をうらやましく思う。自分は中途半端なのだ。レプリノシスとしても人間としても。
彼女が動いているのは忠義の心であった。仮初ではあるが自由を認められている数少ないレプリノシスである彼女にとって、生きる動機は行き倒れた自分を助けてくれたボスへの恩。それ以外には無い。
その部分では実に人間的なヒコであったが、モルモットだった頃の人間から仕打ちを思い出すと、やはり自分がどっち側にも付けないことを思い知らされる。
雑念を振り払い、彼女は仕事に専念することにした。

この5人をどうやって追い詰めるか。指名手配されているのだから、すぐ見つかりそうなものだが、被害者が出ると厄介だ。
人間が強化レプリノシスに勝てるわけがない。ヒコの任務は被害者が出るより早く、彼等を見つけ出すことでもあった。
彼女は考え、そして閃いた。
まず、彼等は足が使えない。遠くへはいけない。見たところ、飛んだりする能力はなさそうであったし、もし車などを奪っていたら殺人事件で足取りがつかめる。
恐らく、慎重に、とても慎重に彼等は潜んでいるはずである。
施設の場所をインプラントから割り出し、彼女はフロートカーで走り出す。
遠くへは行ってないはずだ、そして盗むとしてもほんの僅かな目立たないものばかり。彼等の能力を使えば、殺人はともかく窃盗程度はごまかせるだろう。
施設周辺へと着くと、次にヒコは銀行へ行った。銀行へ行き、被造物管理局の人間だと知らせて100万の金をそれぞれ7つのバッグに分けて計700万を請求した。これらは無論経費だ。
銀行を出て、彼女はすぐ施設周辺で治安の悪いとされている場所を巡り、映像発信機の着けたバッグを取り出す。
計七箇所、ビルの隙間、ゴミ箱の中、屋上、見つけにくいが数時間たてば見つかるであろう場所へ彼女はそれらを設置した。
設置場所から離れてフロートカーの中でヒコは待つ。あの700万は様々な人の手に渡るであろう。
その中に逃亡者がいる可能性に掛ける。別人が拾っても100万が落ちていたという話がゴロツキどもに広がればこの界隈に潜む彼等は奪いに来るだろう。
顔は割れている、発信機から送り込まれる映像で判別は可能だ。
計画としては上々、あとは離れて機を待つのみであった。

数時間後、何者かがバッグを動かしたことで発信機が周囲の映像をヒコへと送ってきた。
映ったのはヒゲの生えたホームレスの姿。人間の中で最下位に値する存在だった。
はずれかとため息をついてシートに身を預けようとした時、ホームレスが何かにぶつかり、金が散らばる音をヒコは聞いた。
咄嗟に映像に集中する、影が見える。バッグは地面に落ちたようだ。傾いた映像からでは何があったのかよくわからない。
ただ悲鳴がした、助けて、という声と。
ヒコはフロートカーを勢いよく発進させた。直感であるが、獲物が罠に掛かったと判断したのだ。
そこは2個目を置いた場所、建物と建物の間の袋小路だった。ヒコはフロートカーから出て周囲を確認した。
ヒコがバッグを入れたゴミ箱は倒され、その数メートル先に血痕とホームレスの死体だけがある。
工事中の場所だったのか、合金パイプの小山が2〜3束、脇に放置されていた。
慎重に袋小路を進む、胸に重力銃を潜ませ、逃亡者の気配を探る。
もう既に逃げたかもしれない。どうやら、奴等は殺しをしたらしい。ホームレスなら足はつかない。そう判断したのか。
ホームレスは合金パイプで心臓を貫かれて死んでいた。力技ではない、何かしらの能力だろう。さて…

ヒコが思巡している、その一瞬を付いてそれは空から落ちてきた。
影が迫ると思ったときには既にヒコは地面に足を付いて、攻撃を食らった状態であった。
首が強烈に痛む、ひいては頭も。何かで頭を殴られた。何が?どこから?
頭を抑え、攻撃地点から離れる。振り向くとそこには男が立っていた。見た顔だ。逃亡者の、一人。
どういうわけか、男は何も無い空から降ってきたらしい。能力か。テレポート、あるいはテレキネシスのような。
手に合金パイプを持って、彼は怯えている。服には返り血。なるほど、殺しは初めてだったか。
人間の制御下を離れたレプリノシスは脆い、肉体ではなく、精神が。
殺せる、ニコはそう判断した。再度、能力を使われる前に、殺る。
ニコはニィッと笑みを浮かべて、迷うことなく重力銃の引き金を男に向けて引いた。
慌てふためき、目が点になっている男は相手が何をしたのかもわからず。ただ、黒い光線が自分の腹部に直撃するのを見ていた。

重力銃は重力線を束ね、空間の一部を歪ませて飲み込む器。まともに食らえば、当然死ぬ。
何かに当たるまで直進し、当たれば最後、対象を重力線の渦に引きずり込む。金属なら粉々に、肉ならミンチになってはじけ飛ぶ。
当然、特別な許可がなければ発射は出来ないが、ヒコはそれを許されていた。

重力線の命中した男は、飛散した。
集中し、点になった重力線は瞬時崩壊型マクロブラックホールへと変化し、男の身体を引き裂いたのだ。
超圧の重力は強化レプリノシスであっても関係ない。何万Gを胸に抱いて一瞬のうちに砕け散る。苦しみなど感じる暇は無い。
一匹処理した、と立ちくらみを抑えヒコは頭を振る。
だが、安堵する暇はなく。
何時の間にか、ヒコの周りを無数の合金パイプが取り囲んでいた。視界360度、天井までも。
これは…通路の脇にあった合金パイプだ。
それらが何故か、今宙に浮いてヒコの周りを漂っている。まるで、何者かに操られているように。
淀みなく、迷いなく、驚愕するヒコの顔などお構いなしに、合金パイプの群れは彼女めがけて急発進する。
「死ィィィねッ!!!」
鉄パイプの先の景色からヒコには女の姿が見えた。涙をこらえ、顔を赤く晴らしている。男が死んだことを悲しみ、憤怒しているのだろう。
重力銃を撃っている暇はなかった。一撃必殺だが、チャージに時間が掛かる代物なのだ。
そうか、二人組みか。なるほど。恐らく、二人は気付いていたのだろう。これが罠だと、そして返り討ちにしようと思ったのだろう。
彼女のテレキネシスで浮かされていた彼が奇襲をかけ、隠れていた彼女がその援護をする、見ると二人分のビルの隙間が小さく視界の隅にあった。そこを使ったか。
そんな思考が最後にヒコの頭をよぎった。
一本ならともかく、これだけ無数の合金イプで貫かれれば無事ではすまない。ミンチになるより他ないだろう。
ガギン、と醜い金属音があたりに響き、袋小路は沈黙した。
「うっ…うっ…レオン…」
全てが終わると女は無我夢中で走り出した。血溜まりと化した男の残骸の元へ、そして膝を突き、彼の名前を呼んで嗚咽した。
愛していたのだろうか、それとも一緒に逃亡した仲間の情か。
だが、いずれにせよ。
「泣いている場合では、ないな」
女はハッとした、どこからともなく声が…どこから…だって…あの女は…。
「攻撃を成功させても、テレキネシスを解除しない心意気は認める」
迷うことはなかった。声は間違いなく、目の前の、仕留めたはずの女は、目の前の、合金パイプ郡の塊の中から。
そして、その合金パイプがじょじょに動いていくのを女は見ていた。
ヒコは合金パイプを止めていた。密集した直後、身体に触れる直前で。
今、合金パイプがヒコの体から反発するように剥がれていく。否、反発するようにではなく、文字通りこれは反発。
驚愕し、女は一瞬、自らの思考を放棄した。

斥力。

引力の反対、物体と物体が互いを拒絶しあう力。
ヒコはそれを操ることが出来た。ヒコが能力で斥力を高めれば高めるほど合金パイプは…
反撃。女は、ヒコの能力が何であるかを悟ることなく、反発により高速で飛んできた合金パイプに胸と腹を貫かれ吹っ飛んだ。
何か、風を裂くような声をしたがヒコは気に留めない。散々になった合金パイプの群れが袋小路の壁や地面に突き刺さっている。
合金パイプがもはや、自らに向かってこないことを知るとヒコは自らの仕事を完遂したことを確信した。
吹っ飛んだ女の方へと近づく。女は血まみれで、ひゅーひゅーと息を切らし、恐ろしい形相でヒコを睨んでいた。
「な、な…ぜ…?私たちとおなじ…ちから…にんげんが…あなたは…何なの…」
「それは私にもわからん」
短くそう言い放つと、ヒコは懐から普通の銃を取り出し、彼女の脳天を打ち抜く。
任務は全て終わった。ヒコには悲しみや憐憫はない、彼女は自らの仕事に覚悟をしていた。
殺す覚悟と、殺される覚悟を。余計な感情は、施設を出るときに既に切り捨てていた。
携帯電話を取り出し、上司に連絡する。”仕事の一部が完了した"と。
これから一度局に戻ってこの現場と700万についての始末書やらなんやらを書かなければいけない。
やれやれ、とヒコは袋小路から背を向けて立ち去ろうとした。
だがその前に、一人の女性が袋小路の入り口に立っていた。
見たことのない女性であった…いや、どこかで会ったかも知れない…思い出せない…
彼女は茶封筒を一つ抱え、こちらを凝視している。
もしや、事の顛末を見られたか?だとすると面倒くさい。説明するのは苦手だ。
そう思っていると彼女はこちらにきて
「はい、依頼の品です。他言は無用…何か後ろがえぐいことになっちゃってますが、追求するなと命令が出ているので何も聞きません。
では、これで」
そう言って茶封筒を一つ押し付けると女性は足早に去っていった。
ヒコがあっけにとれている間に、彼女は雑踏へと消えていく。
…とりあえず茶封筒を開けてみる。
そこには、一枚のカードが。
瞬間、覚醒する。これこそ巷で噂の偽造カードではないか。
どうやら、あの女はブローカー。そして、取引相手は…
ヒコは後ろを振り向く、そこには血の惨状があるのみである。

死者は、何も語らない。


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(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:2
剣技:
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・召喚剣<[5/0/0/2/速速衝衝死死死/柿client]>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>

設定:
人間だけが入れる会員制の酒場に一人の男が入っていく。
黒の帽子にコート、白いシャツを背景に黒のネクタイが映える。
男はカウンター席へ向かうと待ち合わせていた人物の隣に座った。
「待ったかい?」
彼が話しかけた男は身なりの良い紳士で、人間階級でも上位であろうことが即座に伺える。
「いや、それほどでもない。それより忙しい中すまないな」
彼は帽子を脱ぎ、手に抱えていた茶封筒をそっと机の上に置いた。
「仕事の途中だったか」
「ん、あぁ。まぁいいよ、大したことじゃない。それより何だって、レプリノシスが逃げ出したんだっけ?」
「あぁ、シャルロットだ。一昨日の晩、急にいなくなった。あれはお前から買ったヤツだったな」
男は不愉快だ、と少し顔を歪ませて酒を煽った。それは彼に対してのやんわりとした非難でもあった。
「勿論は解っている。高級娼婦という言い分で検知機器はつけてない。そもそも、スリープ型のレプリノシスがエラーを起こすなんて考えてなかったからね。素体番号は付いてるけど、ちょっと流通ルートがアレだから保険は掛けてないし・・・にしても、まさかシャルロットが逃げ出すとはねぇ」
他人事のように呟く彼に隣の男はじっ、と視線を向けた。
「とにもかくにも、お前が勧めるからアレには高い金を積んだんだ。どのみち保険も必要ないと言ったのもお前だぞ」
今度は直積的に、彼へと談判を行った。今日、黒コートの男…バートロが呼び出されたのは、用意したレプリノシスが顧客の下から脱走した責任をとるためであった。
「解ってる、解ってるよ。全部僕が仕組んだことだ。責任は取る。とりあえず、今はこれで」
バートロは男のいなす様にカウンターへと金のみっしりと詰まった封筒を投げ捨てた。
「・・・まぁ、金さえ貰えればこっちは文句は無いわけだが」
金さえ貰えば、と二度言って彼は首を引っ込める。
彼が俗物的な人間であることをバートロは熟知していたし、それを利用することも容易かった。
バートロは彼がシャルロットを使って彼女に支払った以上の金銭を稼いでいたことを知っていたが、それについては言及しなかった。
余計な詮索はしない、人を操るにはまず相手の言い分を聞き、慣らすことだ。バートロはその術に精通していた。彼には天賦の人心掌握の才があった。
さらに、彼が世界有数の製薬会社の御曹司であることが闇社会で地位を上げることに限りなく貢献していた。
不法レプリノシスの販売、違法インプラントの移植、中央コンピューターMOTHERへのハッキングによる情報流出。
彼が手を染めていない悪行は一つたりとてない。
中央都市セントラルの”黒い羊"とはまさしく彼のことだった。
「それじゃ後は僕のほうでシャルロットを探してみるよ。見つけたら連絡する。責任をもってね」
「あぁ、待ってくれ」
バートロが立ち上がろうとすると、男は慌ててそれを抑止した。
「その…聞きたいことがある。レプリノシスは…本当に道具だと思うか?」
俗世の塊だと思っていた人間からの、思わぬ哲学的な問いにバートロは少なからず面食らった。
居を正して彼と向き合う。
「いきなりどうしたんだ。君がそんなことを言うなんて意外だな」
「なんというか…俺でもよく解らないんだ。その、レプリノシスは当たり前のように俺達の傍にいる。言わなくても勝手に奉仕してくれる。
だが、時々思うんだ。これでいいのか、って」
バートロは少し彼を見下した顔をした。気付かれない程度の、表情。
「それは中々に難問だね。レプリノシスに対し、恋愛感情を抱く人間もいるが無意味だ、と僕は思ってる。
人間の感情はもっと複雑さ。レプリノシスは所詮、人形でしかない。指示がなければ何も出来ないし、彼等は君が悲しい時に泣いてくれるかい?」
「いや…」
「人間はもっと高等な生き物さ、自信を持って良い。彼等は偽物さ」
冷たい口調でバートロがそう言い放つと、彼は押し黙った。ただ「そうか…」とだけ呟いて、うつむいてしまった。
「自分でもまだ解らないが、ひょっとしたら俺はシャルロットを愛していたのかもしれない…」
男の突然の告白にバートロは思わず噴出しそうになった。が、堪えて紳士的な笑みを顔に貼り付けて応える。
「なるほど。そういうこともあるかもしれない。なら、尚更僕には責任があるようだ。任せてくれ、仕事はきちんと果たすよ」
今度こそ立ち上がって、納得のいっていない男を尻目にバートロは外へと出た。
天幕は夜を示し、人造の星星が凛然と輝いている。バートロはそれを見て三日月型に唇を歪ませて笑うのだった。


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(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:2
剣技:
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<30/0/4/0/>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・裏切書簡

設定:
人間だけが入れる会員制の酒場に一人の男が入っていく。
黒の帽子にコート、白いシャツを背景に黒のネクタイが映える。
男はカウンター席へ向かうと待ち合わせていた人物の隣に座った。
「待ったかい?」
彼が話しかけた男は身なりの良い紳士で、人間階級でも上位であろうことが即座に伺える。
「いや、それほどでもない。それより忙しい中すまないな」
彼は帽子を脱ぎ、手に抱えていた茶封筒をそっと机の上に置いた。
「仕事の途中だったか」
「ん、あぁ。まぁいいよ、大したことじゃない。それより何だって、レプリノシスが逃げ出したんだっけ?」
「あぁ、シャルロットだ。一昨日の晩、急にいなくなった。あれはお前から買ったヤツだったな」
男は不愉快だ、と少し顔を歪ませて酒を煽った。それは彼に対してのやんわりとした非難でもあった。
「勿論は解っている。高級娼婦という言い分で検知機器はつけてない。そもそも、スリープ型のレプリノシスがエラーを起こすなんて考えてなかったからね。素体番号は付いてるけど、ちょっと流通ルートがアレだから保険は掛けてないし・・・にしても、まさかシャルロットが逃げ出すとはねぇ」
他人事のように呟く彼に隣の男はじっ、と視線を向けた。
「とにもかくにも、お前が勧めるからアレには高い金を積んだんだ。どのみち保険も必要ないと言ったのもお前だぞ」
今度は直積的に、彼へと談判を行った。今日、黒コートの男…バートロが呼び出されたのは、用意したレプリノシスが顧客の下から脱走した責任をとるためであった。
「解ってる、解ってるよ。全部僕が仕組んだことだ。責任は取る。とりあえず、今はこれで」
バートロは男のいなす様にカウンターへと金のみっしりと詰まった封筒を投げ捨てた。
「・・・まぁ、金さえ貰えればこっちは文句は無いわけだが」
金さえ貰えば、と二度言って彼は首を引っ込める。
彼が俗物的な人間であることをバートロは熟知していたし、それを利用することも容易かった。
バートロは彼がシャルロットを使って彼女に支払った以上の金銭を稼いでいたことを知っていたが、それについては言及しなかった。
余計な詮索はしない、人を操るにはまず相手の言い分を聞き、慣らすことだ。バートロはその術に精通していた。彼には天賦の人心掌握の才があった。
さらに、彼が世界有数の製薬会社の御曹司であることが闇社会で地位を上げることに限りなく貢献していた。
不法レプリノシスの販売、違法インプラントの移植、中央コンピューターMOTHERへのハッキングによる情報流出。
彼が手を染めていない悪行は一つたりとてない。
中央都市セントラルの”黒い羊"とはまさしく彼のことだった。
「それじゃ後は僕のほうでシャルロットを探してみるよ。見つけたら連絡する。責任をもってね」
「あぁ、待ってくれ」
バートロが立ち上がろうとすると、男は慌ててそれを抑止した。
「その…聞きたいことがある。レプリノシスは…本当に道具だと思うか?」
俗世の塊だと思っていた人間からの、思わぬ哲学的な問いにバートロは少なからず面食らった。
居を正して彼と向き合う。
「いきなりどうしたんだ。君がそんなことを言うなんて意外だな」
「なんというか…俺でもよく解らないんだ。その、レプリノシスは当たり前のように俺達の傍にいる。言わなくても勝手に奉仕してくれる。
だが、時々思うんだ。これでいいのか、って」
バートロは少し彼を見下した顔をした。気付かれない程度の、表情。
「それは中々に難問だね。レプリノシスに対し、恋愛感情を抱く人間もいるが無意味だ、と僕は思ってる。
人間の感情はもっと複雑さ。レプリノシスは所詮、人形でしかない。指示がなければ何も出来ないし、彼等は君が悲しい時に泣いてくれるかい?」
「いや…」
「人間はもっと高等な生き物さ、自信を持って良い。彼等は偽物さ」
冷たい口調でバートロがそう言い放つと、彼は押し黙った。ただ「そうか…」とだけ呟いて、うつむいてしまった。
「自分でもまだ解らないが、ひょっとしたら俺はシャルロットを愛していたのかもしれない…」
男の突然の告白にバートロは思わず噴出しそうになった。が、堪えて紳士的な笑みを顔に貼り付けて応える。
「なるほど。そういうこともあるかもしれない。なら、尚更僕には責任があるようだ。任せてくれ、仕事はきちんと果たすよ」
今度こそ立ち上がって、納得のいっていない男を尻目にバートロは外へと出た。
天幕は夜を示し、人造の星星が凛然と輝いている。バートロはそれを見て三日月型に唇を歪ませて笑うのだった。


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(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:3
剣技:
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<30/0/4/0/>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<50/0/0/0//ジュライラ>

設定:
書いてますん。


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(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:3
剣技:
 ・召喚剣<35/0/3/0//岩窟人形維持二回目>
 ・召喚剣<30/0/4/0/>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>

設定:
書いてますん。


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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・召喚剣<30/0/4/0/>
 ・召喚剣<50/0/0/0//閉塞の五度>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝絶>

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書いてますん。


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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・召喚剣<30/0/4/0/>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<5/1/0/3/速熱衝衝絶>
 ・召喚剣<20/0/0/3/熱絶絶/黒ねこサンゴロウ>

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書いてますん。


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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・召喚剣<30/0/4/0/>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<20/0/0/3/熱絶絶/黒ねこサンゴロウ>
 ・召喚剣<20/0/0/2/速熱衝絶/侍女ダイナ>

設定:
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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・召喚剣<30/0/4/0/>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速熱護衝絶>
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<20/0/0/3/熱絶絶/黒ねこサンゴロウ>
 ・召喚剣<20/0/0/2/速熱衝絶/侍女ダイナ>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/ベン>

設定:
書いてますん。


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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・召喚剣<30/0/4/0/>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・召喚剣<5/0/0/4/魔魔魔魔魔>
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<20/0/0/3/熱絶絶/黒ねこサンゴロウ>
 ・召喚剣<20/0/0/2/速熱衝絶/侍女ダイナ>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/ベン>
 ・召喚剣<5/0/0/3/速熱護衝衝絶/糸の精霊石>

設定:
書いてますん。


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(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・召喚剣<30/0/4/0/>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<20/0/0/3/熱絶絶/黒ねこサンゴロウ>
 ・召喚剣<20/0/0/2/速熱衝絶/侍女ダイナ>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/ベン>
 ・召喚剣<5/0/0/3/速熱護衝衝絶/糸の精霊石>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/鏡の国のアリス>

設定:
書いてますん。


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(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/虚構の六度>
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<20/0/0/3/熱絶絶/黒ねこサンゴロウ>
 ・召喚剣<20/0/0/2/速熱衝絶/侍女ダイナ>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/ベン>
 ・召喚剣<5/0/0/3/速熱護衝衝絶/糸の精霊石>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/鏡の国のアリス>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速絶絶絶熱/刃の精霊石>

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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<20/0/0/3/熱絶絶/黒ねこサンゴロウ>
 ・召喚剣<20/0/0/2/速熱衝絶/侍女ダイナ>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/ベン>
 ・召喚剣<5/0/0/3/速熱護衝衝絶/糸の精霊石>
 ・召喚剣<5/0/0/3/鏡鏡鏡鏡鏡鏡/鏡の国のアリス>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速絶絶絶熱/刃の精霊石>
 ・召喚剣<5/0/0/4/命鏡魔鏡鏡/此の精霊石>

設定:
書いてますん。


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(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<20/0/0/3/熱絶絶/黒ねこサンゴロウ>
 ・召喚剣<20/0/0/2/速熱衝絶/侍女ダイナ>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/ベン>
 ・召喚剣<5/0/0/3/速熱護衝衝絶/糸の精霊石>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速絶絶絶熱/刃の精霊石>
 ・召喚剣<5/0/0/4/命鏡魔鏡鏡/此の精霊石>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速護熱衝絶/グリックの冒険>

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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<20/0/0/3/熱絶絶/黒ねこサンゴロウ>
 ・召喚剣<20/0/0/2/速熱衝絶/侍女ダイナ>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/ベン>
 ・召喚剣<5/0/0/3/速熱護衝衝絶/糸の精霊石>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速絶絶絶熱/刃の精霊石>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速護熱衝絶/グリックの冒険>
 ・召喚剣<5/0/0/1/速死鏡鏡鏡鏡鏡鏡/マック・ポティエル>

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(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<20/0/0/2/速熱衝絶/侍女ダイナ>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/ベン>
 ・召喚剣<5/0/0/3/速熱護衝衝絶/糸の精霊石>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速絶絶絶熱/刃の精霊石>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速護熱衝絶/グリックの冒険>
 ・召喚剣<5/0/0/1/速死鏡鏡鏡鏡鏡鏡/マック・ポティエル>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>

設定:
書いてますん。


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(出典:マーガレット百年戦争)

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名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<20/0/0/2/速熱衝絶/侍女ダイナ>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/ベン>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速絶絶絶熱/刃の精霊石>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速護熱衝絶/グリックの冒険>
 ・召喚剣<5/0/0/1/速死鏡鏡鏡鏡鏡鏡/マック・ポティエル>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<5/5/0/2/重重/ザイロコーパ×2>

設定:
書いてますん。


オーナー:nitoro

(出典:マーガレット百年戦争)

評価数:0


名前:黒羊の話
HP :5
攻撃力:0
防御力:0
素早さ:4
剣技:
 ・裏切書簡
 ・召喚剣<20/0/0/2/速熱衝絶/侍女ダイナ>
 ・召喚剣<5/1/0/4/熱熱斬斬/ベン>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速絶絶絶熱/刃の精霊石>
 ・召喚剣<10/0/0/3/速護熱衝絶/グリックの冒険>
 ・召喚剣<5/0/0/1/速死鏡鏡鏡鏡鏡鏡/マック・ポティエル>
 ・召喚剣<5/0/0/4/速熱衝熱衝>
 ・召喚剣<5/5/0/2/斬斬/ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち>

設定:
書いてますん。


オーナー:nitoro

(出典:マーガレット百年戦争)

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