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逃げ場がない―――

どうやらそのようだった。
教室は監獄に等しい。
手を挙げることすらできないならば。
教師の――足が――ゆっくりと近づいてくる。こつり、こつり。顔は伏せたまま音だけを聞く。
(おい、顔色がヘンだな。具合でも悪いのか？)
そう言ってもらえることを期待していたのか？起こり得ない。教師は彼の横をゆっくりと通過した。
顔も上げられず、声すら出せない。息も。
間違いなく、世界の時間は停止していた。
次の瞬間が起こるまで。

オーナー：samantha

(出典：だいにかいさんはい)

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