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冥界の川の水は霊体にとって猛毒のようなもの。
彼は川に落ちて、記憶を失って人格も崩壊してただ欲望のままに彷徨っていた。

しかし、外の世界を正しく認識できなくなったとしても、彼の理性は心の中で自問自答を繰り返している。

天使が彼に教えたのは婚約者の居場所だけではない。
婚約者が彼ほど彼を愛していないことも、冥界で見かけた婚約者の傍に他の人影があったことも、
彼は知っていた、長い間に現実から目を背けていた。
そして死ぬことで自分の純粋かつ犠牲的な愛を守りたかった。
いくら待っても彼女はもう戻らない、ということをようやく彼が受け入れた。
作り上げた理想像を離れる時が来た。

彼は内省を長く続けていた、
やがて、浸かっていた水が引いた、幻想が涸れ果てていた。
彼は再び目覚めた、虚しさとともに。

オーナー：theta

(出典：新規剣±1部屋ver10)

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(EscaeP)(「こうやどうふ」)(sunatower)(84n)