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そうだ。今日は大事な円舞会の日だ。
たっぷりおめかしして、素晴らしく踊って、マーガレット王国の者に強さを知らしめてやらなくっちゃ。
それにしても、おかしな夢を見たなあ。
私は練習したとおりに踊れてたんだけど、途中から途心が思うように伸びなくなってさ。
それで転んでさ、優勝は…というところで目が覚めたのさ。
あ、大事なものを忘れてた。武神から預かっていた手紙…
という触れ込みのアレをマーガレット国王に渡そうと思っているけど…
円舞の練習にすっかり気を取られていたから、失礼が多い文になりそうだな。

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刀師の国を治める武神からの書簡1
拝啓
雪の降っていた白山はすっかり焼けてしまいましたが、いかがお過ごしでしょうか。
私は遠く東にある刀師の国を治めている武神です。
この手紙は緊急なもので、特殊な遠隔会話を使い、使いの者に書記させているので拙い箇所が時々出てきます。
そういう設定にしておいてください。
この度は、私の従者である追野二雪を王国にお招きいただき誠にありがとうございます。
この手紙を書かせているギルド員です。
追野は、私によく似た形の角を生やし、よく似た体格で、よく似た剣を使い、同じ事を誓っている刀師です。
まだまだ至らないところもありますが、どうか仲良くしてやってください。
出来れば貴方と直接手合わせしたいところですが、私は遠くの国を治める身。
代わりに円舞を見ていただけると幸いです。
（2へ続く予定）

オーナー：kusa_hen

(出典：マーガレット英雄譚ブレイドバラード-encore-)

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ギルド員が口々に言っている…
時が戻されたと。全然、分からなかった。
そういえば、踊っている時に転んだ記憶が妙に生々しい感じはした。
こんな靴を履いていればそりゃ、転ぶに決まっているだろう。
靴なんて生まれてこの方、履いたことがない…というより、履く必要がない。
蹄で地面を歩けば何の問題もない。
人間の足には手と同じように指がある代わりに、手と同じくらい柔らかいというから不便極まりなさそうだ。
それに、靴なんか履いててもすぐ不潔になるらしいし…
まあ、直接地面に触れる蹄もきれいなわけがないが。

人間（やその他の種族）のふりをしていれば目立たなくなり、正体も知られなくて済む。変装や変化の術が下手すぎてやめちゃったけど。
…正体の話はやめよう。忘れて忘れて。
それより…ダンスしている時にふと、誰かと目が合った気がするんだ…
誰だったかな…

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刀師の国を治める武神からの書簡2
（中略）
私の趣味は、占いです。
花占い、星占い、角占い、カード占いなどを学んでいます。
占いは戦場の多くの者に広く影響を与えることができるからとても好んでいます。
などと話すと、皆がサッと引いていくので私は孤独な変わり者のようです。
占いに関しては、失敗ばかりで腕もいまいちです。とほほ。
国王様のご趣味は何ですか？

オーナー：kusa_hen

(出典：マーガレット英雄譚ブレイドバラード-encore-)

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それは修行のため、山へ籠っていた時だった。
私はうっかり道に迷い、何回もの夜が明けるのを見た。
だが不思議と何も飲まず食わずとも、何ともなかったのである。
日が経つにつれ、何故か自分の発している生き物としての気配が消えてゆくのを感じた。
虫は寄って来なくなり、獣に近づいても逃げられなくなった。
その後自力で山を脱出したが、登った時の姿と降りて来た時の姿はほとんど変わらなかった。
周囲の者は多少は驚いたけれども、何も言わなかった。
私は化け物に近づいているのだろうか…
気分はとても空ろだった。
その空ろな感覚を思い出し、足だけ空ろにすれば、靴の不快さを忘れるなど簡単にできるというわけだ。

あの、よくある漫画とかでヒロインとか心優しいキャラが小鳥を指に止めているやつ。
最終的にはそれができるんじゃないかと思っている。
自然に生息する野生の鳥を指に止めるなんてそれこそ化け物の仕業じゃないか。

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刀師の国を治める武神からの書簡3
（中略）
家族構成は神なので秘密…と言いたいところですが、両親と兄がいます。
彼らは神性を持たない普通の人です。まだ武神になったことは内緒にしています。面倒なので。
兄の身体は大男のベアーグに負けず劣らず大きいです。目も同じくらい優しいです。
そんな兄は母親似で、母もベアーグの画像を縦に縮めて横に伸ばしたような姿をしています。
ベアーグと接していると、家族と暮らしていた頃を思い出します。
彼に角はないというのに。

この話は恥ずかしいので内緒にしておいてください。
特にベアーグとギルド長には。
そういえば国王様のご幼少の頃はどのような感じでしたか？

オーナー：kusa_hen

(出典：マーガレット英雄譚ブレイドバラード-encore-)

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私は生まれながらの剣客ではない。
刃に毒を塗り、若干の魔法を使い、刀身に糸を仕込んでいる。
見たことがない？いやいや、そんな。ほら、こういう風に…

糸は羊人間が得意とする武器だ。
家族を除く羊人間たちとはとっくに縁が切れている。
私は羊人間の群れから追い出され、羊人間なんかやめたつもりだった。
頭の角も死ぬほど嫌だった。
しかし、何をしても身体の特徴からは逃れられなかった。
そんな中、角のある者や角のない者、大きい角や小さい角、（中略）様々な種族に出会い…
私は悟ったのだ。
角は戦いにおいて有利だ。いや、有利となすためにあるのだ。
せっかく学んできた糸を使った武術も、利用しない手はない。
そこで、私は刀と糸を合わせた武具を持ちたいと思った。
最初は市販品を買って分解して…
長くなったのでこの辺にしておくか。
自分で打った刀の糸が伸びたまま、壊れて元に戻らなくなるほど間抜けなことはない…

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刀師の国を治める武神からの書簡4
（中略）
私は神性を手に入れてから、暦が読めなくなってしまいました。
今日という日が何歴何年何月何日かを把握しようとすると、頭の中が空圧を受けたかのように真っ白になります。
この話も恥ずかしいので内緒にしておいてください。
少し前（もちろん何日前か忘れております）、追野が私と同じ状況にある者を偶然見つけたのですが、
理性がなく突然襲いかかってきたため上手く聞き出せずに斬ってしまいました。
…ご存知かもしれません。

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…今の武神は弱い。
先の武神の命が尽き、とびきり強い刀師が集められて戦い、その中も最強とされる刀師が新しい武神となった。はずだった。
そして彼が武神となって初めての戦い、刀師として最後の決戦が行われた。
今まで武神を目指して戦ってきた刀師が力を合わせ、新しい武神は神として、刀師として初めて負けた。
かつて刀師の国で万物の力を司る崇高な存在として崇められていた、武神が負けた。
そのため多くの民がこれからの武神の統治に不安を持ち、刀師の国を離れていった。
武神は恥を背負いながら、これからを刀師を束ねる王として生きることを決めた。
…もっと恥ずかしい事、ここでは言えないような事だって探せばまだまだあるけど。
とにかく我が国の武神が弱いのは、私のような新参の刀師でさえ広く知られている事実だ。
武神の命により私は旅をして、強き者と出会い、戦い、学ばなければならない。
それは己のためでも武神のためでもあるのだ。
武神は今でも怖いんだ、力を合わせた者と戦うのが。

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刀師の国を治める武神からの書簡5
（中略）
長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
追野の踊りはいかがでしたか？
わが国にはもっと強くて面白い刀師がたくさんおります。
事情が落ち着いたら、訪問してみてください。
国王様のご来訪を心待ちにしております。
刀師の国、そして私「玲狼の武神」を今後ともよろしくお願いします。
敬具

オーナー：kusa_hen

(出典：マーガレット英雄譚ブレイドバラード-encore-)

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